韓国中を震撼(しんかん)させた“N番部屋事件”の運営者だったチョ・ジュビン服役囚が「国民参加裁判を受けさせてほしい」と、最高裁に申請したことが、韓国の複数メディアで明らかになった。
国民参加裁判は、一般市民をランダムに選び陪審員として参加させる制度。裁判部は有罪・無罪および量刑を決定する際に、陪審員の評決を参考にする。
“N番部屋事件”とは、2019年8月から2021年2月までチャットアプリのTelegram(テレグレム)を介して広がった、大規模なサイバー性犯罪。モデル等のアルバイト募集から、女性たちに裸の写真を撮らせ、脅迫するなどしてわいせつ写真や動画を集め、運営者である“博士”(チョ・ジュビン懲役囚)が1番~8番まであったチャットルーム(通称N番部屋)に営利目的でユーザーと共有し、販売・流布していた。判明している分だけでも、被害者は児童・未成年者8人と成人17人、チャット閲覧者は26万人にも及ぶとされている。
この事件により、関係のない有名人の名前が浮上し巻き込まれるなど、当時は韓国芸能界でも慌ただしい空気が漂った。
チョ・ジュビン服役囚はこれらの容疑で、2021年10月に懲役42年を言い渡され現在服役中だが、昨年9月、未成年者A氏に対する性的搾取物を制作し、性的暴行した容疑で追加起訴されている。
そして昨年11月「裁判官による裁判が信頼できない」という趣旨の意見書を出し国民参加裁判を申請したが、今年2月、ソウル中央地裁は排除決定を下した。チョ・ジュビン服役囚は直ちに抗告状を提出したが、2審でも同じ決定が行われた。
法曹界によると、チョ・ジュビン服役囚の弁護人は12日、国民参与裁判排除決定に対して控訴を棄却したソウル高裁の決定を不服とし、再抗告状を提出したという。チョ・ジュビンが再抗告したことで、最高裁が最終的に国民参加裁判除外決定の妥当性を判断することになった。