美術家として活動している杉浦由梨(@sugiura16738120)氏は〝洗顔ものまね〟という独自のジャンルで日々、SNSをにぎわせている。
顔にたっぷりの白い泡をのせ、顔の輪郭を自在に表現。髪型、目の細さ、笑った表情、あごの長さなど、著名人の顔の特徴をピンポイントで捉えている。これまで稲垣吾郎、コロコロチキチキペッパーズのナダル、千鳥のノブ、堺雅人、藤田ニコル、ラグビー日本代表・稲垣啓太などに〝変身〟。Twitterでは、10万前後の「いいね」が寄せられる投稿もあり、「天才すぎる」「すごいクオリティー」「似てる!」「発想とこれができる技術がすごい」「こんなジャンルがあるとは」など絶賛と驚きのコメントであふれている。
盛り上がりが本人に届いたこともある。2018年、杉浦氏が初めて挑戦したのは草彅剛の〝洗顔ものまね〟だった。「自分の思う草彅さんの特徴を泡で作れた時に『できる!』と確信し、それから多くの著名人の方のお顔に挑戦することができました。2年後の2020年に洗顔ものまねが最初にたくさんの方に見ていただけるようになった時に、草彅さんご本人が気づいてくださりました」。草彅のツイッターに投稿された動画では、草彅が自身の洗顔ものまねを見て「すごいね!あ、僕だ僕。ハハハ!ウケるー。すっげえウケる」と楽しそうに話している。杉浦さんは「大変感激しました」と当時を振り返った。
一体なぜ〝洗顔ものまね〟という斬新すぎる発想に至ったのか。杉浦氏は「きっかけは、あらかじめ泡立ててから顔に乗せる洗顔法を知った時、実際にやってみたところ、鏡に映る自分の顔が泡の形によってツリ目に見えたり、垂れ目に見えたり、毎日違うことをおかしく感じた事です。私の顔を知らない方にもそれが伝わる方法を考えた時に、著名人の顔になっていたら面白く思ってもらえるのではないかと思いはじめました」と説明した。
〝洗顔ものまね〟は時間との戦いだ。杉浦さんは「写真を見て洗顔ものまねを行うと情報が多くなり、作っている最中に泡がたれてきてしまうので、できる限り短時間で完成させるために先に特徴を自分なりに把握して、それを見ながら作るようにしています」。加えて「泡を動かすと指についてきたり、時間がたつと泡の形も変わっていくので思った通りの形を作ることが難しく二度と同じ形も作れないため、都度試行錯誤して制作しています」と苦労を語った。
4月にはヴィレッジヴァンガードとのコラボグッズが販売されるなど(現在は受付終了)〝洗顔ものまね〟の注目度は高まっている。活動5年目を迎えた杉浦氏は「たまに制作中に泡を見つめすぎて顔の認識が曖昧になっていき、泡の中で迷子になるような感覚になります。でもどこかで被写体の方のお顔の特徴に近づく瞬間があり、『ここだ!』と手をパッと離して完成と判断する時が好きで制作を続けています」とやりがいを語った。