面倒な賃貸トラブル 「特約」にしれっと書かれた条項に要注意!貸主と借主の分担は?

平松 まゆき 平松 まゆき
早朝のマンションで事件は起こった(sharaku1216/stock.adobe.com)
早朝のマンションで事件は起こった(sharaku1216/stock.adobe.com)

 引っ越しシーズンですね。春から新生活を迎える方も多いのではないでしょうか。そこで、賃貸借や隣人トラブル等、住まいに関する身近な法律について解説したいと思います。

 今回は、賃貸物件の退去時の費用負担の問題についてです。みなさんは、借りた部屋を出ていく際、高額なクリーニング代を請求された、敷金が返ってくると期待していたらクリーニング代にあてられ全然戻らなかった、という経験がありませんか。

 貸主と借主がどのように費用を分担するかについては、国土交通省のガイドラインにまとめられています。それによると年数の経過によって当然に生じる変化(経年変化)、および自然に生じる損耗(通常損耗)については、貸主が費用負担すべきものと解されています。たとえば、日照などによる畳やクロスの変色、床やカーペット上の家具の重さによるへこみ、電化製品の裏の壁の電気ヤケなどです。これらは人が住んでいれば自然かつ当然に生じる変化や損耗です。したがってこれらを取り換えるためにクリーニング代を請求する(敷金から差し引く)のは不適切です。

 しかしながら、「特約」と称して「退去時に必要な費用は借主が負担する」という条項が、しれっと(笑)契約書に盛り込まれているケースもあります。この問題に関し、最高裁は、本来、貸主が負担すべき範囲を借主へ転嫁するための特約をするのであれば、借主が負担する範囲を具体的に契約書に明記しておくなどして、借主から明確な合意を得る必要があると判示しました。

 これを受けて、昨今の賃貸借契約書では実に事細かに負担範囲を明記するようになりました。しかし、かえって細かすぎて読む気がしない、不動産会社の担当者と読み合わせをしたけど頭に入らなかったという方も多いのではないでしょうか。

 重要なのは、契約時に、退去にどのくらいの費用必要かシミュレーションを求めるなどして、具体的な金額をイメージしておくことです。また、入居当日に部屋の隅々の写真を撮り、自分で作った傷かそうでないかを判別できるようにしておくのもよいでしょう。

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