華道界の〝EXILE〟はイケメンぞろいの16人 いけばなの普及に日々奮闘中

中江 寿 中江 寿
「IKENOBOYS」の馬場健氏(左)と小杉秀樹氏
「IKENOBOYS」の馬場健氏(左)と小杉秀樹氏

 華道界に〝EXILE〟が存在する。2016年に華道家元池坊が華道の魅力を広く発信する目的で結成した〝イケメン(=花をいけるメンズ)華道男子グループ〟「IKENOBOYS」(イケノボーイズ)だ。全国各地のイベントなどで、華道のPR活動を展開している。メンバーは農家、会社員、建築士、大学生、声優、僧侶などさまざま。今年新たに5人が加入して16人体制となった。今回、26日に京都府長岡京市で開催された「京都まるごと芸術祭」に出演したメンバーの小杉秀樹氏(29)と馬場健氏(21)がグループへの思いを語った。

 小杉氏は華道歴5年で現在はブライダル関係の会社に勤務している。以前勤めていたリゾートホテルで先輩に、言葉遣いや所作を学ぶために茶道をススメられたが、茶道教室で置かれていた、いけばなに目をひかれた。「床の間なの茶花がすごくきれいで、魅せられて。それでいけばなを習おうと。生け方によって、その日の気持ちが出てくる」。自分が受けた感動を人に伝えたいという思いから、メンバーに2020年に加入した。

 馬場氏は京都の大学に通う3回生で同じく2020年に加入。9歳の時に楽しそうだと軽い気持ちで体験教室に参加。自分の作品に先生が少し手を加えただけで、ガラリと印象が変わったことに〝魔法みたい〟と魅力に取りつかれた。入団のきっかけは高校時代に徒歩での通学中、道端にある花を見て友人に「さっきの花、きれいだったね。こんな季節になったんだ」と話しかけても「そんなのあったけ?」と通じなかったこと。「もしかしたら、華道をやっていた僕だからこそ見えたのかも。他の人にも良さとか、もっと見えている世界を広げるようなお手伝いができないかなと思いました」と語った。

 2人に共通する思いは〝人に伝えたい気持ち〟だ。華道、いけばなの世界は一般的に認知されていても、敷居が高いイメージがある。グループを通じて華道界に親しみを持ってもらい、魅力を感じてもらえればと思っている。ホームページ、インスタグラムなどSNSでも情報を発信している。

 この日のステージでは音楽に合わせて、竹や花を生けながら、高さ3メートル、幅3メートルの巨大ないけばなを完成させた。トークを交えての鮮やかなパフォーマンスは、和室で和服を着て静かに花を生けるイメージとは全く異なる。小杉氏は「僕たちの役目は入り口なんですね。(敷居を)下げないと、入りづらいんです。生活文化ですし、時代は変わっていくので。昔を守りつつ、今のことも考えていく」と、伝統をリスペクトしながら新しい形も取り入れて普及に務めていくつもりだ。

 16人はどれもイケメンぞろい。ただ、全国の各支部で活動しており、全員がそろってパフォーマンスをする機会はまだないが、実現へ向けての希望を口にする。小杉氏は「やってみたいですね。なんかダンスが始まりそう」とジョークを交えながら目を輝かせる。馬場氏も「例えば、ひとつひとつ(の作品)を合わせたら完成するみたいな」とイメージを膨らませていた。「IKENOBOYS」の挑戦はまだまだ続く。

 ◆「IKENOBOYS」(イケノボーイズ) 2016年に華道家元池坊が華道の魅力を広く発信する目的で結成した男子によるグループ。最初は5人からスタートして、現在は16人。ぞれぞれ全国各地のイベントなどで、華道のPR活動を展開中。

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