フィフィが日本人と日の丸を語る 「ここがヘンだよ日本人」にも自ら言及

山本 鋼平 山本 鋼平
イベントに参加したフィフィ(右)と佐井大紀監督=都内
イベントに参加したフィフィ(右)と佐井大紀監督=都内

 タレントのフィフィ(47)が25日、東京・角川シネマ有楽町で映画「日の丸~寺山修司40年目の挑発~」の舞台挨拶に、同作の佐井大紀監督とともに登壇。「日の丸は日本人が意見を出しにくい究極の題材」と感想を語った。

 1967年に放送され、放送直後から抗議が殺到し、閣議でも問題視され、郵政省がTBSを調査した伝説のドキュメンタリー番組を映画としてよみがえらせた。歌人、劇作家、映画監督として時代の寵児だった寺山修司が構成を担当し、街ゆく人々に「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」などと挑発的な質問を、次々とインタビュー。TBSディレクターで、寺山への憧れを抱く佐井監督が「現代に同じ質問をしたら、果たして?」という思いから、自ら街頭に立った。

 SNSでは度々デリケートな話題に歯に衣着せぬ意見を展開し、炎上状態に見舞われるフィフィ。「ズケズケとしたインタビューでイラッとした。でもそこまでして、ようやく日の丸の意見を出せるのかな」と手法について語り、その上で「日本人はディベートが苦手。本心を言った場合、相手とぶつかってしまうんじゃないかと探り探りなんです。それを直球で、イラつかせる形で質問すると、逆に自分のことを出そうっていうところがある。ただ、50年経った今も同じ手法ではないと、日本の人たちはうまくディベートができないんだっていうのはすごく印象的だった」と映画の感想を語った。

 日の丸と似たものとして、君が代にも触れた。

 「やっぱり戦争責任だとかそういったもののイメージをつけられてしまっている。君が代もそう。敗戦国であることもあるんでしょうけれど、それでナショナリズムを動かされて戦争に突き進んでしまったんだ、というふうな教えられ方をしてたりするから、どうしても日の丸、君が代だったりに戦争責任を背負わしている感じがします」と述べた。そして「ちょっと驚いたのが、質問された方の答えが50年前と今もあまり変わらなかった」と驚いた点も挙げた。

 佐井監督は200人以上にインタビューした際にユーチューバーと間違われたこと、SNSとは異なり対面取材ではそれほどの過激さがなかったこと、党派性のこだわりが強い意見は採用しなかったこと、模範的な意見を出す人々のふに落ちない表情を、印象的な出来事に挙げた。「SNSでこの映画の感想がほとんど上がっていない。つまらなかった、でもいいので、感想を言ってほしい。酒の肴になるような映画になってほしいんです。お酒を飲みながら何となく国の話、自分たちのアイデンティティとかを、軽く話せる方が健全だと思います」とメッセージを語った。

 フィフィは司会者から「日本っておかしいよね、って思うところは何ですか」と話題を振られると、自ら「まるで『ここがヘンだよ日本人』みたいだね」と、1990年代末から2000年代初めまで、主に在日外国人が日本人の〝ヘンなところ〟をテーマにしたTBSの人気討論バラエティー番組を挙げた。「私はよく『番組に出てたでしょう』『すごい好きでした』と言われるけれど、一度も出てないから。アレは私のデビュー作じゃないから」と強い口調で断言した。過去にも度々言及しており、フィフィにとって「ここがヘンだよ日本人」は、タレントとしてのアイデンティティを揺るがすテーマであることをうかがわせた。

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