せき止めシロップ服用で子供が相次ぎ死亡、200人犠牲か インドネシア揺るがす悲劇、悲しみに耐える母

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 インドネシアでは昨年以来、子供が急性腎不全となり死亡するケースが多発しており、その数は約200人に上っている。政府当局は咳止めシロップに含まれていた化学物質が関係しているとみて調査を進めている。

 シティ・スルハルディヤティさんの2歳の息子、ウマルちゃんは汚染された咳止めシロップを服用し、2週間と経たずに急性腎不全で亡くなった。シティさんは、少なくとも8つの製薬会社と複数の政府機関に対する集団訴訟の原告となった。 

 「ショックだった。信じられなかった。夢を見ているようだった。息子が体調を崩してから亡くなるまで、あっという間。たった2週間だった。何の情報もなかった。何が原因でこうなったのか、何がいけなかったのか、あらゆる疑問が常に私の頭を支配していた。生まれてからあの子はずっと元気で、何ひとつ問題なかったのに…」

 シティさんの家にはウマルちゃんの写真が数多く飾られ、毎日靴を並べて、息子が急にいなくなってしまった悲しみに耐えているという。

 「息子が服用したのは、すでに亡くなったほかの患者のものと同じ薬だったようだ」と話す。警察がウマルの服用した薬のサンプルを調べたところ、エチレングリコールとジエチレングリコールが含まれていたという。

 一部のシロップ状の解熱・鎮痛薬から、エチレングリコールとジエチレングリコールが見つかっている。これらは不凍液や車のブレーキ液に使われている。ウマルちゃんの死因は腎臓の機能が急激に低下する「急性腎不全」で、昨年以来、多くの子供たちが同じ理由で亡くなっている。当局は、この2つの化学物質が死亡と関係があったとみている。

 インドネシア政府は昨年10月から複数の咳止めシロップの使用を禁止。また問題の化学物質を製品に混入させたとして、複数の製薬企業に対して独自の法的措置をとっている。

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