サッカーのカタールW杯は、グループリーグ最終戦(日本時間2日午前4時キックオフ)が迫ってきた。日本にとっては決勝トーナメント進出を賭けた大一番のスペイン戦を迎えるが、現地スペインに住む者として、対戦国が日本をどうみているのか生活者の感覚として考えてみる。
今週のある日の朝、近所のおじさんが道先で声をかけてきた。
「おい、次日本はスペインの試合だな」。スペイン人である自分ではなく、日本人の立場に立って発言しているところに精神的な余裕を感じさせた。
また別の顔見知りのおじさんは「日本は勝ち抜けするのか?」と質問する形で会話を始め、 「この間の試合で勝ち点6にしてたらその時点で決まってたのにな…」と、厄介な状況にしたのは自分たちだとも、まるで全てが決まった後に“敗因分析”をするかのような口調で話した。
日本としてはやはり第2戦でコスタリカに敗れたことが、大きなマイナス材料になっている。スペインのスポーツ紙マルカでは同試合のマッチレポートで「モリヤスのチームが急ブレーキ」と表現。戦前には日本の勝利が予想されていた試合をモノにできなかったデメリットは単にポイントを積み重ねられなかっただけではない。
初戦のドイツ戦で大金星を挙げ「スペイン気をつけろ、日本が来るぞ!」(マルカ紙)と大きく見出しで掲げていたチームへの評価を失った。つまり1戦目、2戦目ともに良い意味でも悪い意味でも当初の見方を裏切ったわけで、不安定さを露呈したというところだろう。
日本対スペインの試合結果を予想する一つのスポーツベッティング(賭け)のオッズでは日本の勝利が9倍、引き分けが4・75倍、スペインの勝利が1・39倍となっている。つまりスペインの勝利に終わるとの見方が圧倒的だということ。グループリーグ最終節の他の試合でこれ以上にガチガチだと考えられているのはコスタリカと対戦するドイツ(1・11倍)とカメルーンと対戦するブラジル(1・25倍)のみ。もしドイツとスペインが予想通り勝利すれば日本はグループリーグ3位以下で終戦を迎えることになる。
この厳しい状況で日本が活路を見出すとすれば、スペインの目がすでにその先へ向いていることになるかもしれない。
グループリーグ勝ち抜けは決まっていないものの戦い方が楽になっている状況で、スペインのメディアやファンの間では別のグループの有望チームの戦いぶりや分析、ラウンド16(決勝トーナメント1回戦)の対戦相手がどこになるのかが語られており、日本戦が大きな話題となっていないのが実情。果てはグループ1位で通過すれば準々決勝で有力な優勝候補ブラジルと対戦するのが濃厚で、ならばグループ2位で通過してクロアチア、モロッコ、ベルギーのいずれかと戦い、準々決勝でポルトガルと戦う方がベターなのでは、との意見もある。
スペインとしては先を見据えて戦力温存の必要もあるだけに、次の試合ではいくらかの戦力ダウンも考えられる。日本としては後先考えず戦うことしかない。それが3戦目もサプライズを演出する最初の条件になるのかもしれない。