サッカーW杯カタール大会が連日盛り上がっている。1次リーグE組初戦で強豪ドイツに逆転勝ちした日本代表だったが、〝格下〟とみられたコスタリカに痛恨の敗戦を喫して正念場を迎え、12月2日早朝のスペイン戦に臨む。一喜一憂する日々が続く中、職場などでのサッカー談義で気まずい思いをすることも起こりうる。「大人研究」のパイオニアにして第一人者、『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その対応策をお伝えする。
◇ ◇ ◇
【今回のピンチ】
会社でFIFAワールドカップの話題に。軽い気持ちで「さすがにもう奇跡は起きないよね」と言ったら、上司が顔を真っ赤にして「悲観的なことを言うな!」と怒り出した……。
◆ ◆ ◆
サッカーのワールドカップが盛り上がっています。日本代表は強豪のドイツを破って勢いに乗ったかと思ったら、2戦目でコスタリカに惜敗。次のスペイン戦で大金星をあげないと、決勝トーナメントへの進出は厳しい状態になっています。
スペイン戦の前や、あるいは見事に決勝トーナメントに進んだ場合も、こういう状況に陥る可能性はあります。ニワカファンである自分のお気楽な発言が、どうやら本気のサッカーファン……いや「サポーター」ですね……だった上司の逆鱗に触れてしまいました。
会話のオフサイドとも言えるこの状況で、相手をなだめようとして「だけど客観的に実力を見ると……」と、根拠らしきものを提示するのは完全に逆効果。ドイツ戦の例を持ち出すまでもなく、勝負は水ものです。そもそも上司は、客観的で冷静な予想がしたいわけではありません。
ムキになって「じゃあ、ランチ代を賭けましょうか」と勝負を仕掛けるのも、ヒンシュクもののラフプレー。平然と火に油を注ぐ幼稚な人間性や、自分が勝てそうと思って賭けを申し出るセコさがにじみ出てしまいます。
ここはフェイント気味のトラップで活路を見出したいところ。
「も、もちろん勝つと信じてます。きっと今回も、厳しいかなあ……と思わせておいての劇的な勝利っていう流れですよね!」
わざとらしさは気にせず、力強くこう言い切ってしまうのが、絶体絶命のピンチから抜け出す突破力です。
さらに続けて「何対何になると思いますか?」と、上司に言葉をスルーパス。「うーん、×対×かな」とボールが返ってきたら、食い気味に「きっとそうなりますよ!」と思いっ切りボレーシュートをけり込みましょう。
残念ながら実力差どおりの結果になった場合、試合後に「予想、外れましたね」と話を蒸し返すのは、反則以外の何ものでもありません。きっと上司に、心の中でレッドカードを出されてしまいます。
もし予想が的中した場合は、遠慮はいりません。「まさに江東区の奇跡」「今回の勝利は、○○さんの予想が導いたんじゃないですか」と手ばなしで称賛しましょう。「おめでたいから、ウチの部署は今日の午後は休みにしませんか」と提案してみるのも一興。ま、却下されるでしょうけど。