ウクライナのゼレンスキー大統領は、首都キーウ市の住民支援が不十分だとし、同市のクリチコ市長を批判した。ロシアによる侵攻後、国民団結のイメージを醸成しようと努めてきた大統領が、こうした発言をするのは極めて異例。
ロシアによる無差別的な空爆で国内すべての原発が稼働を停止し、市民数百万人の世帯で停電が発生したが、ウクライナ当局によると電力供給は徐々に復旧しているという。だが25日夜時点で電力の30%は止まったままだとして、当局は市民に対しエネルギー使用を控えるよう要請した。ゼレンスキー大統領はキーウのヴィーシュホロドにある暖房や電力などを提供する緊急センターを訪れ、子供たちに「勝利はすぐそこだ」と勇気づけた。
そして、大統領は同日夜の演説でクリチコ市長を批判した。「残念ながらあらゆる都市で行政の対応が芳しくない。特にキーウでは苦情が多い。控えめに言って、もっと仕事をしてほしい。もっと注意を払ってほしい。キーウ市民はさらなる支援を必要としている」。気温が低下する中、同様のシェルター設営にあたり市長の対応が不十分だったと指 摘した。
現在51歳のビタリ・クリチコ市長は、ボクシングの元WBC、WBO世界ヘビー級王者でも知られる。大統領とクリチコ市長はロシアによる侵攻が始まる前、キーウのサービスの運営方法を巡り“衝突”していた。