歌手として初めてノーベル文学賞(2016年)を受賞したボブ・ディラン(81)が10代の頃に書いたラブレターがオークションに出されている。1957年から59年にかけて高校時代の恋人バーバラ・アン・ヒューイットさんに送った42通の150枚に及ぶ手紙には、ボブがロバート・ジマーマンから改名する際の野心や100万枚のレコードを売るようになったことなどについて書かれており、ボブの初期時代に光を当てるものと受け止められている。
豪華なバレンタイン・カードも含まれる手紙はこれまで公開されなかったが、ボブの大ファンで、この売却を手がけるRRオークションの取締役副社長ボビー・リビングストン氏は、「ボブ・ディランの形成期に関する最初の個人記録」「このアーカイブは、我々がこれまで提供した20世紀の文化的に最も重要なものの一つである」と評している。
2020年にバーバラさんが亡くなった後にバーバラさんの娘が同手紙を発見。ボブの筆跡で書かれたオリジナルの封筒と共に、25万ドルからの入札が開始された。同オークション社は、手紙の詳細な内容は明かしていないものの、服、車、音楽の好みなど、10代の普遍的なテーマを扱っていることが伝えられ、入札は11月17日に締め切られる予定だ。
また、ディランが改名を希望していることについてのバーバラさんの意見も述べられており、リトル・ウィリーとエルストンが新しい名前の候補として挙げられているほか、当時のテレビ番組『アメリカン・バンドスタンド』に出演できるような成功したミュージシャンになることが夢であることも記されているという。
最後の手紙の一つには、ボブがバーバラさんに送った写真を返すよう求めており、ロマンスが霧散している様子がうかがえる一方、バーバラさんの娘は、1960年代後半に音楽で成功したボブが母親に電話をかけてカリフォルニアに来るように頼んだが、母親は断っていたことを同オークション社に語っている。