職場の「タバコ休憩」問題 喫煙者の上司が非喫煙者の部下から「不公平感」を訴えられた時の対応は?

石原 壮一郎 石原 壮一郎
デンマーク 2010年以降誕生の人の喫煙禁止を検討中
デンマーク 2010年以降誕生の人の喫煙禁止を検討中

 職場での「タバコ休憩」が問題になっている。喫煙しない社員の不公平感が根強くあるからだ。喫煙者の上司が、非喫煙者の部下から「社内で喫煙する休憩時間が認められている」ことへの疑問を投げかけられた時、どのような対応をすればよいのだろうか。「大人研究」のパイオニアにして第一人者、『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その対策を提案した。

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 【今回のピンチ】

 自分は小さな会社の管理職。毎日5~6回はタバコ休憩で席を離れている。ある日、部下から「なぜ喫煙者だけ余分な休憩時間が認められてるんですか」と詰め寄られた……。

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  少し前にツイッター上で、「タバコ休憩」が話題になりました。この慣習に対しては、多くの人が恨みや怒りを抱いているようです。

 「喫煙者の上司にトイレが長いと怒られた。お前のタバコ休憩のほうが何倍も長いわ!」「喫煙所で知らない間に大事なことが決まっているのは納得できない!」「非喫煙者にもお菓子休憩をよこせ!」…などなど、威勢のいいツイートがたくさん並びました。

 そんな光景を見て、「ネットで怒ってないで直接言えよ」とも思いましたが、言えない事情があるのでしょう。もちろん、上司や先輩に面と向かって「おかしいです」と意見するケースもあるはず。「タバコ休憩」が話題になったことで、「よし、言ってやる!」と決意した人が増えたかもしれません。

 ある日、部下からタバコ休憩への疑問をぶつけられました。もっともな疑問です。

 ただ、図星を突かれるとカチンとくるのが人間の残念なサガ。声を荒らげて「昔から決まってるんだよ!」とか「仕事の話をしてるんだ!」など、理由になってない理由を返してまうのは最悪の対応です。上司としての信頼も人望も一瞬にして失うでしょう。

 大きなピンチである一方で、対応によっては「なんていい上司だろう」と思ってもらえるチャンスでもあります。まずは「たしかにそうだね。よく言ってくれた。さすが○○だ」と部下を称えましょう。

 その上で、「どうすればいいと思う?」と尋ねます。分が悪い時は、時間を稼ぎつつ、相手の狙いを探るために、逆に質問するのがセオリー。そこで部下が「タバコ休憩はなくした方がいい」と言い出したら、少し眉をひそめて「足の引っ張り合いみたいなことはやめようよ。みんなが不幸になるだけだから」と言って懐の深さを見せつけます。

 「タバコを吸わない人にも、別の休憩があるといいかもしれないね。さっそく、社長に相談してみるよ。ありがとう」

 そんな前向きな話をすれば、腹を立てていた部下の気持ちも鎮まり、満足して席に戻ってくれるでしょう。たとえ苦し紛れのお芝居だとしても、穏やかな口調で実際にこう言えたら、かなりたいしたものです。

 相談した社長(きっと喫煙者)も社員の声に耳を傾ける度量があり、かつ物分かりがよくて「別の休憩」を導入してくれたら、まったく申し分ありません。自分の方も「いい上司」の評価を得ることができます。

 ただ、そうなる可能性は高くありません。適切に対処できる社長なら、矛盾だらけの状況を放置していないはず。とりあえず自分の部署では非喫煙者の休憩を大目に見ると宣言したり、それこそ喫煙所で地道なロビー活動を重ねたりしましょう。ここで煙に巻いてしまったら、「やっぱりタバコを吸う人は……」と念入りに幻滅されてしまいます。

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