日本には「血液型占い」という独自の〝発明〟がある。科学的な根拠は不明だが、あくまで日常会話が弾むネタとして浸透してきた。ただ、人の性格や生き方に触れるデリケートな部分もあり、その内容次第では気まずい雰囲気になる展開も出てくる。そんな時、あなたならどうする?「大人研究」のパイオニアにして第一人者、『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その対処法をお伝えする。
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【今回のピンチ】
夫婦ゲンカの翌日、オフィスで同僚に愚痴をこぼした。「あーあ、B型の女となんか結婚するんじゃなかったよ」と嘆いたら、背後にいた先輩が「ウチの嫁もB型だよ」と…。
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「血液型占い」を信じるかどうかは、人によって温度差があります。「くだらない」と鼻で笑う人もいれば、真顔で「いや、絶対に当たってるよ」と言い張る人も。科学的根拠を見出すのは困難ですが、たしかに話のネタとしては楽しくて便利な発明です。
夫婦ゲンカの翌日、妻に腹を立てた勢いで、とにかく悪口を言いたくて「血液型」をネタにしたら、絶体絶命のピンチを招いてしまいました。血の気が引くとは、まさにこのこと。先輩としては、B型である自分の妻を侮辱されたことになります。
イチかバチかで「奥さんもB型ですか。お互いに苦労しますね」と共感を求めるのは、あまりにも無謀。99%の確率で、火に油を注ぐことになるでしょう。
「で、でも、B型ならではのいいところが、たくさんありますよね」と強引にフォローするのも、あまりにわざとらしすぎます。
もはや「B型の女性はどうか」は論点ではありません。自分のウカツさを責めつつ、全力で謝りましょう。
「いや、その、血液型占いなんて信じてないんですけど、夫婦ゲンカをした勢いで、ついB型に八つ当たりしてしまいました。巻き込んで申し訳ありません!」
その先輩はたぶんこっちの話を聞いていたので、流れは分かっているはず。本気で腹を立てているわけではなく、ちょっとからかいたくなっただけです。青ざめて必死で頭を下げれば「ハハハ、そんなに謝らなくていいよ」と笑ってくれるに違いありません。
続けて「自分のウカツさを改めて思い知りました。ありがとうございます」とお礼を言えば、さらに完璧です。
ただし、小粋に締めようとして、血液型をからめながら「A型の男は、そういうところがダメなんだよなあ」と反省を示すのは、ウカツの上塗り。先輩に「オレもA型だよ」と言われたら、また振り出しに戻ります。