47都道府県の懸垂ができる公園約6000件をまとめたマニアックな個人サイトがある。公園を地図上にリストアップし、遊具名やメーカー名、写真も掲載。サイト管理人の「公園の鉄棒」さん(Twitter:@pull_up_bar)は「依存症の類だと思ってます」という集中ぶりで更新を続けている。
話題のサイト「懸垂のできる公園リスト」では、任意の場所を地図上にマークできるGoogleマップのマイマップ機能を使い、懸垂できる鉄棒がある公園の場所を一覧で表示している。日本地図を埋め尽くすマップピンの数は約6000件。ネット上では「個人サイトでこれだけの数を網羅しているのはすごい」「懸垂界の伊能忠敬」「地元民しか知らない公園なのに」「懸垂棒の商品名?とメーカーまで漏れなく書いてあるの狂気すぎる」などと、全国的には無名な公園までもカバーする調査力に驚く声も上がる。
2015年頃から、ジョギング中や昼休みに懸垂できるようにと個人的なマイマップを作り始め、各地の同志に役立つかもしれないと20年12月にサイトを公開した。公園情報は主にインターネット検索とユーザーからの提供で集める。検索では「健康遊具」「高鉄棒」「雲梯(うんてい)」などの遊具名と地域名を組み合わせ、個人ブログや自治体サイトから情報を拾う。Googleマップに公開された写真やストリートビューの遊具の写り込みを手掛かりにすることもある。
Twitterやサイトの問い合わせフォームからも未掲載の公園情報が寄せられ、これまでに約3000件を登録した。公園を多く見つけ出す「猛者」もいるといい、「だいたい『検索』と似たような探し方をしているようで、かなり地道な作業だと思うのですが、感心させられます」と公園の鉄棒さんも舌を巻く。
他に、「通り道」で新たな公園を見つけることもある。「『あれ、この公園ありそうだな』などと謎の嗅覚が発動することがあり、寄り道をしたら案の定見つかる」と、鋭い勘が働くこともあるという。
5色のマップピンは「赤=訪問済み。写真も載せてある」「青=未訪問」「黄=問い合わせフォーム等でいただいた写真を載せてある」などと分類してある。「訪問済み」の公園では、遊具の場所をスマートフォンのGPSで確認し、地図上のピンを実際の遊具の位置に近づけるなど細部までこだわりがある。
情報収集には、通勤中のスマホ検索に加え「帰宅後の時間や、土日の時間をほとんど使っているようなこともあります」と相当な時間を費やしている。しかし「キリの良いところが分からずハマっているような状態です(依存症の類いだと思ってます)」と、情熱を傾けているつもりはないという。公園の鉄棒さんは「公共の場所で、誰でも使える状態にしてあるものなのに、検索やGoogleマップでは見つけきれない情報があって、実際に行ってみると見つけられる、という体験ができるのは、検索で何でも見つかる世の中においてなかなか楽しい」と活動の魅力を語った。