元・任天堂デザイナー前田高志氏によるオンラインサロン「前田デザイン室」がこのほど、素材をダウンロードできるサイト「DOTOWN(ドッタウン)」を開設し、約700点のドット絵を公開した。同サイトの担当者は「私たちが驚くような面白い使い方もお待ちしています」と活用を期待する。
サイトにはビンテージゲームをほうふつとさせる、解像度の粗いドット絵=「粗ドット」がずらりと並ぶ。同サイトは「前田デザイン室」メンバーによるプロジェクト。公開された約700点の素材は約60人のメンバーで制作した。年始からは約3週間で約400個を生み出す急ピッチで制作が進められたといい、担当者は「みんな本業がある中での制作だったので自分たちでも驚いています」と振り返った。
「前田デザイン室」を運営する前田高志氏は、かつて任天堂で広告や宣伝のデザインを手がけていたという。ゲームグラフィックスが「リアル」に進化する傾向に対し、「逆に粗く抽象化することでキャラクターが魅力的に見えるという進化もあるのではないか」と粗ドットを着想した。
豊富な画像素材を無料で使用できることに、SNS上では”ドット絵界のいらすとや”になるのではと喜びの声も上がった。前田氏は同オンラインサロンについて「仕事ではできないクリエーティブ」を楽しむ場だと説明し「収益を得ることを目的にすると、サードプレイスとしての価値がなくなると考えています」と無料公開の姿勢を貫く。
サイトではドット絵の使用例も紹介。ポスターやグリーティングカードのイラストとして使うだけでなく、クロスステッチやアイロンビーズの図案として活用する方法などが公開されている。担当者は「魅力的な制作物を作るきっかけに、ひいてはデザインを身近に感じていただけるとうれしいです。『こんな使い方もあるの?』と私たちが驚くような面白い使い方もお待ちしています」と期待を膨らませていた。