見る者を“沼入り”させてしまう韓国ドラマ。さまざまなジャンルがあれど、抜け出せないほどハマってしまうのは、韓国時代劇だろう。
史実をベースにしたものや、恋愛と青春模様を盛り込んだフュージョン時代劇など、その描写は多彩だ。
そして、その主人公となるのは、凛々しい王族たち。
王や王子は、生まれながらにして人生のレールが敷かれている。彼らはそれ以外の選択が許されず、そのためにし烈な権力争いに巻き込まれる。
そこで犠牲となってしまうのが、恋だ。彼らは、自身のロマンスさえ、権力に操られてしまう。
日々、命を狙われるような状況にさらされている彼らは、唯一の癒しである“恋”を成就させることは難しい。そこには“身分”という、埋められない溝があるからだ。
王族としての道を全うし、生き残るため、彼らは好きでもない相手と政略結婚をすることに‥。
視聴者にとって、その“もどかしさ”はドラマにスパイスを与え、だからこそ好きな女性と過ごす一瞬に、ファンはトキメキを覚えてしまう。
ここでは、それぞれの魅力と個性で視聴者のハートを掴んだ、“時代劇のロマンチックガイ”をご紹介。
1.パク・ボゴム『雲が描いた月明かり』
本作でパク・ボゴムは、純粋さと男らしさを併せ持ち、視聴者を胸キュンさせる“ツンデレ”ぶりを披露した。世子(皇太子)のイ・ヨンに扮し、自由奔放な性格ながら、常に民のことを考え、良い君主になりたいと思っている人物だ。
男装したヒロイン、ラオン(キム・ユジョン扮)を男として良き友だと思っていたが、ラオンを好きだということに気付き、悩む。そんな2人は、互いの素性を知らないまま次第に距離を縮めていく。
イ・ヨンが、ラオンを世子としてではなく一人の男として守っているのが、まさに“胸キュン”ポイントだった。
ドキドキ感満載のストーリーはもちろん、美しいビジュアルに抜群の愛嬌を盛り込んだパク・ボゴムの姿に、魅了された視聴者が続出したのは、言うまでもない。
2.キム・スヒョン『太陽を抱く月』
40%を超える視聴率を記録した、大ヒットドラマ『太陽を抱く月』。
この作品は、キム・スヒョンの独壇場だったと言っても過言ではない。魅了されずにはいられない重低音ボイスに、繊細な感情表現が目を引くキム・スヒョンの演技は、女性視聴者の心を震わせるのに十分な要素を持っていた。
キム・スヒョンは、従来の王のイメージとは異なり、政治的側面と初恋という切ない純情を持ったキャラクターを見事に演じていた。その結果、彼は数々の賞を獲得する。
こうして、自身だけのカラーを見せると同時に、時代劇のトーンを完璧なまでに吸収、優れた演技力を持つ20代俳優の一人に浮上。韓流スターとして、成功を収めるきっかけとも言える作品になった。
3.ユ・アイン『トキメキ☆成均館スキャンダル』
『トキメキ☆成均館スキャンダル』は、甘酸っぱい恋と友情を描いた、爽やかな青春物語。
キャスティング当初、新人俳優の起用に雑音が聞かれていたのだが、驚くべき演技力で、全ての憂慮を跳ね飛ばしたのがまさにユ・アインだ。
劇中、反抗的だがヒロインにだけは弱い、“暴れ馬”のコロ(ムン・ジェシン)役を務め、魅力を存分に発揮。
武骨でありながら、実は純情で優しい一面を持っていること、ヒロインに寄せる淡い恋心と優しさを見せ、そんな“胸キュンギャップ”によりユ・アインは、幅広い世代の女性ファンを獲得した。
トレンディー俳優としてのイメージはもちろん、演技派という肩書きまで得ることに成功している。
4.イ・ソジン『チェオクの剣』
『チェオクの剣』で、ファンボ・ユン役を演じたイ・ソジン。ヒロインのチェオク(ハ・ジウォン扮)と、叶うことのない切ない愛を描いた。
そんな愛を分かち合う中で、イ・ソジンは優しく決断力のある、完璧な男性キャラクターを完成させる。
本作はシンドローム級の人気となり、熱狂的なファンが誕生。いまだに人生ドラマに挙げるファンも多いほど。
そんな演技、演出、脚本の3拍子が揃った、視聴者の記憶に残る作品なのである。
5.ジュノ『赤い袖先』
2PM(トゥーピーエム)のメンバー、ジュノは『赤い袖先(原題/袖先赤いクットン)』で、抜群の演技力と存在感を見せつけた。
この作品は、自身が選んだ人生を守ろうとした宮女と、愛よりも国が優先だった王の、切ない宮中ロマンスを描いている。
ジュノが演じたのは、これまでも様々な俳優が演じてきた正祖イ・サン。彼はここで、この上ない“セクシーさ”というカラーを付け加えた。
史劇が初挑戦であることを忘れさせるほどの安定的な発声、安心して観ていられる演技力、厳かな袞龍袍(コルリョンポ)姿は、新たな〝時代劇キング〟の誕生を知らせることとなった。
一国の君主としての重い責任感から、初恋に落ちて感じるトキメキまで、幅広い感情のスペクトルを、ジュノは遺憾なく発揮している。(構成:星野沙)