不仲だった教師が作品を選んでくれたことが「今も文筆活動を続ける糧」短歌を巡る生徒と先生の逸話が話題

中将 タカノリ 中将 タカノリ

短歌をめぐる生徒と先生のエピソードがSNS上で大きな注目を集めている。

「高校生のころ現代文の担任に嫌われていて(課題をひとつもやらなかった)模試で満点を取っても褒めてはくれなかったんだけど、匿名で短歌をつくる授業で私の作品を選んでしまい立ち上がる私と目が合った時のあの、先生の瞳に宿っていたあの光を、いまだに思い出しては短歌を書くことがあります。」

と自身の高校時代の思い出をつづったのは詩人のみささぎさん(@misasagi_nezumi)。

みささぎさんと、普段彼を疎んでいた教師に訪れた邂逅の瞬間…何とも言えない緊張と瑞々しさにあふれたこのエピソードに対し、SNSユーザー達からは

「ドラマチックですね!先生もあなた様にもぐっときました。」
「貴方が天才型なんじゃないかなと思う。
まぁ嫌われるけど、好き嫌い置いといて、素晴らしい作品を作る貴方にプロフェッショナルとしての尊敬と驚きの目が出たんじゃないかな」
「私は担任(国語)に『あなたの書く文章はすごく上手だけど面白くない』と言われて文章を書くことをやめました。
詩とか作文とか書くの好きだったのになー。
大人になった今なら評価なんか気にせず好きなら書けよって昔の自分に言ってやりたいですけどね😄」
「課題出してないから筆跡で気付けなかったという伏線」

など数々の感動の声や共感の声が寄せられている。

みささぎさんにお話を聞いた。

ーー当時みささぎさんは担任にどんなイメージを抱いていたのでしょうか?

みささぎ:良い先生でした。フチの薄い眼鏡をかけ、きっちり髪を分けている、少し神経質な方でした。授業は丁寧でよく生徒を見ていたと思います。私は先生が好きでした。

多くの方に誤解を招いてしまいましたが、この件は私が課題を出さなかったことが原因で冷遇されたというだけで、先生に落ち度はありません。むしろ平等に接していただいた結果だと思っています。

ーー作品が選ばれた時のご感想をお聞かせください。

みささぎ:素直に嬉しかったです。これはスカッとする復讐劇でも私の不幸自慢でもありません。あの時あの先生が選んでくれたという事実が、今も文筆活動を続ける糧となっています。

ーーその後、担任の方との関係性に変化は感じましたか?

みささぎ:特に関係に変化はありませんでした。元々教師たちと言葉を交わすことは少ないほうでしたから、特に仲良くしたいとも思ってはいませんでした。

ーー当時作られた短歌はどんな内容だったのでしょうか?

みささぎ:元々趣味で詩を書いていましたが、短歌はこの授業で初めて書いたのでひどい出来だったと思います。作品は覚えていませんが、内容は恋愛の歌でした。「名前も呼べない、目も合わせることが出来ない。それなら私なんて無い方がよかったのに」のような。青い、とても青い歌でした。

ーーこれまでの反響やコメントについてご感想をお聞かせください。

みささぎ:どこか他人事のように感じていました。というのも、批判する人の多くはツイートの内容如何より「自分の価値観に合うかどうか」で判断しているようでしたし、好意的な意見もまた然りです。本人の私を置いけぼりにして、ツイートの正しさばかりを言い争っているように感じました。言葉に出来ない事は届かない。それを目の当たりにしました。

それでも少数ですが、私自身の考え方や作品に言及して褒めていただくこともあって、それはやはり嬉しかったです。詩人というごく狭い世界にいますから、今回のように多くの人の目に触れるというのは私の理想とする形でもありました。

文章を書く人間というのは、基本的に弱く臆病で世間とはズレた存在です。そしてそれをみんな自覚している。理解しろとは言いませんが、そういう人たちがいることを知ってほしい。そして出来れば、そういう人たちによって文化が作られていると言うことを知っていてほしい。消費の裏には必ず、生み出す人たちがいるのです。

◇ ◇

少年時代のこのセンセーショナルな出来事を糧に、詩人として活動するようになったみささぎさん。彼は今回の反響を得て「Twitter上で詩や短歌、俳句他、文筆活動をしている方は大勢います。私なんかはその内の一人に過ぎません。何も特別ではなくて、興味さえあれば誰もが気軽に楽しめるものです。誰が書いたっていい。ぜひご覧になってください」と語っていた。

SNS上の詩や短歌は「#tanka」「#haiku」などのハッシュタグで簡単に探すことができるので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

みささぎさん関連情報

Twitterアカウント:https://twitter.com/misasagi_nezumi

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