女装したおじいさんと男装したおばあさん。異色の夫婦が織りなすハートフルストーリー漫画「女装じいさんと男装ばあさん」(KADOKAWA)をご存じだろうか? Twitter上での連載についた総いいね数は70万超え。今年4月に待望の書籍の第1巻が発売されたばかりだが、好評を得て間もなく第2巻が発売となる。
“女装”と“男装”という気になるテーマに加えて“高齢”で、しかも“夫婦”!情報量多めな本作について、作者のカワバタバタコ氏に色々聞いた。
ーー今作を描こうと思われたキッカケを教えてください。
カワバタ:小さい頃から女の子らしさを強要される事が苦手でした。性別にフラットな世界をずっと探していたと思います。また、大好きなドラアグクイーンや宝塚歌劇団のような世界観を日常に落とし込めたらいいな、と思ったのも、この漫画を描くキッカケでしたね。Twitterに投稿したところ、思わぬ反響がありました。それが続きを描く原動力につながって、気づけばデビューしてましたね。
ーー登場人物全員、濃いですよね。
カワバタ:全員が主人公だと思って描いています。ひとりひとりが濃い人だと、自ずと面白い事が起こるんです。私も実生活でもそうですが、濃い人って濃い人を呼ぶ気がします。リア友は私に対して「50m先からでも、面白そうな雰囲気の人って分かる」なんて言うんです(笑)。もちろん、その子も最高に濃いですね。作品内の熱量は、現実の私たちをトレースしてる感じかもしれません。
ーー小さな頃から絵は描かれているのでしょうか?
カワバタ:小さい頃から、アニメが大好きでした。4歳ごろから絵を描いていたのですが母親がすごく褒めてくれて、絵を書くことにのめりこみました。
ーー学生時代はどのような学生でしたか。
カワバタ:自分の世界を周りに見せるオープンタイプでしたが、本当の友達と言える存在は小中高はゼロでした。積極的に人と関われるようになったのは社会人になってからです。
ーーどんな意識の変化だったのですか。
カワバタ:世の中、色んな人がいるんだ!って当たり前のことに気づいたんです(笑)他者と関わるのが急に楽しくなりましたね。SNSで作品を公開したり、いろいろな場所へ行くようになりました。そうこうしているうちに、KADOKAWAさんから連絡があり出版することになりましたね。そういえば、母に後押しされてデビューを決めたんです。
ーー母親はキーパーソンですね。
カワバタ:そうです! 母がいなかったら、漫画家になっていなかったかもしれません。実は、KADOKAWAさんからのメールが来た時、私自身は詐欺を疑ったんです。母親に相談したら「ダメで元々だし、とりあえずやってみたら?」と言ってくれました。そんな優しい母なのに、バイオレンスな洋画を大音量で観ていたり、刺激的で面白い人です(笑)。
ーー作品を通じて伝えたいことはありますか。
カワバタ:多様性が謳われる社会です。他人の“好き”を全て受け入れろ!とは言いませんが、否定されると悲しいです。苦手なものでも試してみたり、挑戦することで見えるものもあるかもしれない。別々の人間同士、違いを受け入れられたら最高です。作品内では女装と男装を通じて、多様な価値観が絡み合って様々な愛になっています。優しい世界を楽しんでもらいたいです。
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最後に私の感想を少し書かせてほしい。
この本を読んで、こんな未来が早く来てほしいと痛切に感じた。他者との違いをお互いが認め合い慈しめば世界が良くなるのだと。きっと2巻にはこの優しい世界を現実のものにするヒントが詰まっているに違いない。(と私はなぜか確信している)
私は買います!
【関連サイト】
カワバタバタコさんTwitter:https://twitter.com/muen_original
公式作品ページ(2巻):https://www.kadokawa.co.jp/product/322207000136/
amazon作品ページ(2巻):