ショコラティエ辻口博啓氏 チョコ専用ナイフを忍ばせ保安検査 「止められたことは1回もない」

トークショーを行った辻口博啓氏
トークショーを行った辻口博啓氏

 世界的ショコラティエ・辻口博啓氏(55)が23日、兵庫県神戸市の「felissimo chocolate museum(フェリシモ チョコレート ミュージアム)」でトークイベントに出演。同所で開催中の企画展「6 Essences―チョコレートを表現する6人の知覚―」(9月25日まで)に展示しているチョコレート専用ナイフ「ショコラセパレーター」と、今年ペルーに購入したカカオ農園について語った。

 自身が考案した「ショコラセパレーター」は、ボンボンショコラなど内部が何層にも重なるチョコレートの粒を美しく断ち切り、断面を見るためのナイフ。カカオを模した楕円形の持ち手に、もんじゃ焼きのヘラに近い形をした刃が付いている。

 辻口氏はスイーツ等をジャッジする審査員としてTBS系「ジョブチューン」に出演した際も「―セパレーター」を使ったと話し、「殺傷能力を感じない形をしているのでバッグに忍ばせて全世界に持って行ける」とアピール。「僕はあえて、これを入れて自分の手持ちバッグを(保安検査場で)通すんです。今まで止められたことは1回もありません」と明かし、会場を驚かせた。

 イベントではペルーの自社カカオ農園から1枚のチョコレートになるまでを一貫して手掛ける「FARM to BAR」の取り組みも解説した。チョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ・パリ」で6年連続最高評価を獲得するなど世界的に活躍する一方で、 数年前からカカオの栽培に携わっていたペルー・クスコの近郊の農園を今年、正式に購入。3ヘクタールの自社農園で採れたカカオを使い、高性能の焙煎機「ボールロースター」などに1億円の設備投資をしたという埼玉県のラボでチョコレートを生み出している。

 農園の周囲で栽培されるフルーツにも目を向け、「近くで採れるかんきつ系の素材を入れて発酵させることもやってみたい」と〝研究〟は続く。「カカオやショコラの世界は奥が深すぎて、自分が生きている間にどれだけのことができるのか。ただ、こうやって一歩踏み込む人が出てきて、ショコラの世界に一石を投じるきっかけになると思う。こういう取り組みをこれからも進化させていきたい」と語っていた。

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