いっそ刀を買おうかしら?「刀剣乱舞」盛り上がり受け尼崎の神社の宮司さんが刀を買いたがるワケ

ぽすわんのカノー ぽすわんのカノー

「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)」をご存知だろうか。日本刀をイケメンに擬人化させて敵と戦うゲームが元。今ではアニメや舞台、実写映画化もされている大人気作品である。キャラクターの元になった刀が各地にあり、お寺などで所蔵している刀を展示するとなると、全国から多くの人が訪れるようだ。

この盛り上がりを受け、兵庫県尼崎市の七松八幡神社の宮司、宮本さんが筆者に漏らした一言。

「いっそのこと、刀を買ったら人が来てくれるんちゃうか?」

この神社はNHKで30年放送されている人気アニメ「忍たま乱太郎」の聖地。神社名にちなんだ人気キャラ、七松小平太くんを訪ねて全国のみならず、韓国や台湾からもファンが訪れている。宮本さんが参拝者の喜ぶ顔が見たい一心で作者の尼子騒兵衛さんに掛け合ったところ、2009年にオリジナルの絵馬を描き下ろしてくれたそうだ。(期間が終了したため現在は授与、展示はしていない)

当時、アニメデザインを採用した絵馬は画期的で、神社本庁が東京から視察に来たという。

「今も毎日のように全国からファンの人が来てくれる。アニメと神社は親和性が高いと身をもって感じている。ファンの子と交流してたら、刀剣乱舞が好きっていう子も多い。それで今度は刀を所蔵してみようかなと。僕が無理なら、尼崎市が何処かから買い取るとか?思いつきやけど、どないやろうか?」

そのアイデア、実現可能なのか?往年の刀剣乱舞ファンで尼崎在住の女性、あんずパイさんに話を聞いてみた。

「残念ですが、今から刀剣乱舞のファンが喜ぶ刀を買い付けることは不可能だと思います。既に消失した刀や、伝説の刀も多いです。そして現存している刀には既に高い価値がついており、展示会をすれば数億円の経済効果を生んでいるそうですよ」

そして、このあんずパイさんから衝撃的な事を教わった。

「尼崎に、刀剣乱舞のモデルになった刀を所蔵しているお寺がありますよ」

という事で、尼崎市寺町にある本興寺の広報担当者、斎藤さんにも話を聞いた。刀剣乱舞に出てくる「数珠丸」を所蔵しているお寺だ。

「コロナで2年中止していましたが、毎年文化の日に数珠丸を一般公開する虫干会(むしぼしえ)を開いていました。刀剣乱舞が流行る前は数百人だった来場者が、作品をキッカケに5000人程になりました。入場制限を行う事となり、待ち時間も長くなってしまいましたが、クレームが無いどころか、多くの若い参拝者が暖かい言葉をかけてくれました」

アニメがキッカケで、参拝者が増える事に関しても非常に喜んでいた。

「どういうキッカケであっても、魅力を再発見頂けることは大変結構なことです。歴史的にも非常に価値のある寺町を楽しんでいただければ尚嬉しいです」

兵庫県在住でカメラマンの辻並利乃さんは、擬人化アニメと聖地巡礼の相性の良さについて次のように語る。

「最近は、競走馬の擬人化作品『ウマ娘』も人気ですね。カメラマンとして全国の競馬写真を撮影していますが、どの競馬場にも人が増えています。アニメキッカケで人が増えるのは良いことだと思います」

様々な意見を七松神社の宮司へ伝えにいったところ

「忍たまでは、街の小さな神社に人がたくさん来てくれている。刀剣乱舞でも尼崎に多くの方が来てくれていることが分かった。次は何をしたら喜ばれるやろか」

と話していた。若い参拝者とのコミュニュケーションを通じて、本来の神社の在り方とサブカルチャーとのギャップの楽しみを教えられたという。

なお、七松八幡神社にて、8月7日には夏祭りを開催予定だという。市民を中心に、アニメファンの方や市外の方にも喜んでもらえる形を模索中だ。また今秋、本興寺で刀が見られるかどうかは情勢を見ながら検討中とのことなので是非SNSで情報を確認頂きたい。

七松八幡神社Twitterアカウント:https://twitter.com/amagasaki1952

本興寺Twitterアカウント:https://twitter.com/honkouji_pr

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