横浜銀蠅の翔 秀樹&明菜提供曲セルフカバーで新境地 64歳誕生日に弦楽四重奏とコラボ、冠番組も開始

北村 泰介 北村 泰介
女性の弦楽四重奏(右側)とバンドでコラボした横浜銀蠅の翔(左から3人目)=東京・丸の内の「コットン・クラブ」
女性の弦楽四重奏(右側)とバンドでコラボした横浜銀蠅の翔(左から3人目)=東京・丸の内の「コットン・クラブ」

 1980年代初頭に「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」などのヒット曲とファッションで社会現象になったロックバンド「T.C.R.横浜銀蝿 R.S.」の翔が64歳の誕生日を迎えた6月8日に都内でバースデーライブを行なった。スーツにネクタイ姿でアコースティック・ギターを手にし、女性による弦楽四重奏とのコラボで西城秀樹さんや中森明菜に提供した曲をセルフカバーするなど、ミュージシャンとしての振り幅の広さを証明した。

 会場となった東京・丸の内のライブレストラン「コットン・クラブ」はテーブル席で食事と音楽を楽しむ大人の社交場的なスペース。翔は「照れくさいですね。もういいかげんに誕生日もないだろうって思ってるんですけど、64になりました」とはにかみ、「皆さん、集まってくれたことが最高のプレゼントなので、お返ししたい。弦楽カルテットとピアノでお届けします」とあいさつした。

 この日は、ベースのTAKU、ギターとドラムスのサポートメンバーによるバンドに加え、女性カルテットの弦楽四重奏(第1&第2バイオリン、ビオラ、チェロ)、ピアノの9人編成で横浜銀蝿ナンバーを演奏する中、80年代歌謡界のトップ歌手に提供した楽曲をアレンジして披露した。

 まずは、西城秀樹さんのシングル曲「セクシー・ガール」(81年6月リリース、作詞作曲のクレジットは横浜銀蠅)について、翔が振り返った。

 「西城秀樹さんは1981年に『ガールシリーズ3部作』として、『リトルガール』『セクシー・ガール』『センチメンタル・ガール』と、3か月に1枚ずつシングルが出る当時のラインに乗って出された。俺の所にはガールシリーズの2曲目を依頼され、『セクシー・ガール』という曲をプレゼントしました。当時、(TBS系)『ザ・ベストテン』で7位まで上がってくれた西城さん38枚目のシングルです。西城さんは亡くなられてしまいましたけど、この楽曲を歌う限り、俺たちの心には西城秀樹さんのことを忘れないで残っている。ツッパリで売れてすぐの頃で、ミュージシャンの仲間入りをしたんだなと感じたことを覚えています」

 続いて、中森明菜のために翔が作詞作曲した「少しだけスキャンダル」について説明した。

 「明菜ちゃんからオファーが来たのは銀蠅が解散する年の1983年。(4枚目の)アルバムの中に曲を書いてくださいと言うことで、『NEW AKINA エトランゼ』というLPに、銀蠅から俺とTAKUが作った2曲が収録されました。俺の曲は『少しだけスキャンダル』、TAKUが書いた曲は『わくらば色の風(ラヴ・ソング)』。これまでとは大幅に変更されたアルバムの作家陣には、谷村新司さん、阿木燿子さん、細野晴臣さん、財津和夫さんらがおられて、その中に横浜銀蠅が入ったわけなんですね。すばらしくないですか(笑)」

 この「少しだけスキャンダル」はドラマの主題歌になっていた。日本テレビ系で84年9月から10月に放送され、風間杜夫、田中好子さん、桂文珍、手塚理美、柴田恭兵らが出演した「瑠璃色ゼネレーション」だ。

 「『少しだけスキャンダル』は、俺ら(横浜銀蠅)が解散してから、ドラマの主題歌になったんですね。『瑠璃色ゼネレーション』という、風間杜夫さんやスーちゃんが出ていたドラマ。そのオープニングの主題歌になった。明菜ちゃんには歌ってもらうに際して、途中でため息を『アーッ』と入れて欲しくてデモテープを作ったら、入れてくれました!」

 80年代の昭和芸能史を回顧する場ともなったライブ。途中、メンバーが「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」を突然演奏し、横浜銀蠅の盟友でベルウッド・レコード社長のJohnnyがバースデーケーキを手に登場するサプライズも。翔が「(事前に)教えろよ!」と慌てる一幕に、会場では笑いと祝福の拍手が広がった。

 さらに、翔がプロインタビュアーの吉田豪とMCを務める地元TVK(テレビ神奈川)の新番組「翔くん 豪ちゃん 翔和へ GO!」が 7 月5日からスタートすることも発表された。翔は「深夜12時からの15分番組で、ゲストを呼んで昭和の話をしようかなと。15分はあっという間ですが、頑張っていきたい」と抱負を語り、9月19 日のTAKUバースデーライブ開催(横浜ランドマークホール)も告知して、ファンを喜ばせた。

 ライブ終盤はJohnny作曲、翔が詞を付けた「YOKOHAMA」、横浜銀蠅40thの曲で翔が作詞作曲した「Again」で締めくくり。「これからも頑張って横浜銀蠅やっていきますんで、皆さん、ひとつ応援よろしくということで」。約40年前のイメージから一転、アップデートされた音楽家・翔の新境地を実感させるライブだった。

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