ライカのプロトタイプがカメラ落札価格の世界記録を樹立した。およそ100年前に製造された「Leica 0-Series No.105」が11日、ドイツ・ウェッツラーで開催されたオークションで、1440万ユーロ(約20億3700万円、手数料込み)の落札価格を記録した。200万から300万ユーロと予想されていたが、2018年に240万ユーロで落札された前世界記録を大幅に更新した。
ライカカメラジャパンによると、世界で初めて市販された35ミリカメラであるライカ(「ライツ社のカメラ」の略)は1920年代半ばに販売されたが、「Leica 0-Series No.105」はそのプロトタイプとして1923年から1924年にかけて製造された23台の「ライカ0型」のうち1台。年2回開催される写真関連用品専門では世界最大の「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」は、今回で節目の20周年、40回目を迎えたことを記念してライカカメラ本社の所在地ウェッツラーが会場地に選ばれた。オーストリアにあるライカ子会社、ライカカメラ・クラシックス社の社長であるアレクサンダー・セドラクによると、前世界記録は2018年開催の同オークションで落札された「ライカ0型」のシリアルナンバー違い「Leica 0-Series No.122」だという。
「Leica 0-Series No.105」はおよそ100年前に製造された世界初の35ミリカメラのうちの1台だが、シリアルナンバーの個体は、35ミリカメラの生みの親であるオスカー・バルナックが個人所有していたうちの1台を示す。ファインダー部分には“OSKAR BARNACK”の名前が記されている。家族との生活の様子を撮影する中でカメラを技術的な観点から深く観察し、改良を重ね製品としての完成度を高めていった。
セドラクは「ライツ・フォトグラフィカ・オークションは歴史的に価値があるカメラとそのアクセサリーに完全に特化したオークションハウスです。そのため、オスカー・バルナックが個人的に所有していたカメラであり、1920年代半ばに製造されて現在の写真撮影のスタイルの礎を築いたカメラのプロトタイプを今回の記念すべきオークションで取り扱うことができたのは、非常に喜ばしいことでした」と語っている。
ライカカメラジャパンは「1440万ユーロという記録的な価格で落札されましたが、目には見えないその歴史的価値はその価格をはるかに上回ります。いずれにせよ、今回の世界記録更新はカメラ製品のオークションにおけるここ数年来のトレンドが現在も続いていることを物語っています。すなわち、ヴィンテージカメラへの関心がこれまで以上に高まっていて、落札価格も上昇を続けているのです」と分析を述べている。