昆虫食が、コンビニに並ぶ時代がやって来た。食用コオロギ国内養殖量最大手のグリラス(徳島県鳴門市)は1日、都内で記者発表会を開き、6月2日からファミリーマートが運営するコンビニブランド「ファミマ!!」15店舗で、国産食用コオロギパウダーを使用したプロテインバーとクッキーを発売すると発表した。
徳島大学発のベンチャー企業として2019年に設立されたグリラスは、2021年に自社の食品ブランド「C.TRIA(シートリア)」からコオロギカレーやクッキーなどを通販サイトやイベントなどで販売してきた。「ファミマ!!」の店頭に並ぶ「C.TRIAプロテインバー/ビターチョコ」(税込240円)と「C.TRIAクッキー(大判)/ココア」(税込198円)は、グリラス初の小売店向け商品。同社によると、コンビニで大々的に昆虫食が販売されるのは初めてだという。
急激な人口増加に伴い、2030年にはタンパク質の供給が需要に追いつかなくなる逆転現象が起こると言われている。次世代のタンパク源として、注目されているのがコオロギ。雑食の昆虫で、捨てられる食品をえさにして飼育可能なコオロギは「食品ロス」を解決し、新たなタンパク質を生み出す循環型食材〝サーキュラーフード〟としての可能性を秘める。
グリラスの粉末コオロギは、無印良品の「コオロギせんべい」などにも採用されている。記者発表会に出席した渡邉崇人代表取締役CEO(37)によると、2021年は1トン弱だった同社のコオロギの出荷量は、2022年には10トン規模に拡大する見込みだという。
「C.TRIA」のブランドマネジャー、西郷琢也氏(28)は「ウクライナの問題もあり『食料が調達できないのでは』という懸念から、各社からの商談が急増した」と話す。ロシア軍のウクライナ侵攻による食糧危機の懸念が高まるにつれ、食品メーカーからの引き合いが強まっていることを明かした。
プロテインバーとクッキーは、コオロギが入っていると言われなければ気づかないパッケージと味。西郷氏は「市場を拡大し、コオロギを社会の当たり前に。より多くの方の目に、耳に、手に届く商品を目標に展開していきたい」と、コンビニでの販路拡大を契機にコオロギ食へのハードルを下げたいと意気込んだ。