この春話題のオオサンショウウオは「生きた化石」 長寿&高い再生力はあるが、そっと見守ってあげて

篠原 かをり 篠原 かをり
オオサンショウウオ(Martin/stock.adobe.com)
オオサンショウウオ(Martin/stock.adobe.com)

 この春、巨体を誇る両生類が注目をあびた。4月5日、広島市の中心部を流れる元安川の原爆ドーム対岸でオオサンショウウオが見つかったのだ。同市の安佐動物公園に保護され、川の名前から「モトヤス」と名付けられたが、その後、死んでしまった。不気味にも見えるオオサンショウウオ。TBS「世界ふしぎ発見」でミステリーハンターとして活躍し、生き物に関する著述も多い動物作家として活躍する篠原かをりが解説します。

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 オオサンショウウオは、大きな口に小さな目、1.5mを超えることもある巨体が特徴的な動物です。日本固有の世界最大級の両生類として知られています。少し前までは日本固有種のオオサンショウウオが世界最大とされていたため、今でも世界最大という表記を見ることがありますが、2019年に新種として発見された中国に住むオオサンショウウオの仲間が最大であると考えられています。

 約3千万年前からほとんど姿が変わらないことから「生きた化石」と呼ばれています。

 天敵に襲われると皮膚から毒性の液体を出すのですが、その液体が独特な匂いを放つことから「サンショウ」という名前がつくことになったという説がありますが、あまり山椒に似た匂いでないという意見が多数を占める印象があります。

 美食家として有名な北大路魯山人の書いた随筆の中に、山椒魚を調理する際に家中が山椒の香りに包まれるという描写があります。オオサンショウウオを食べることは禁止されているので確かめることはできません。

 「体を半分に割かれても死なない」「体が裂けているように見えるくらい大きな口をしている」などの俗説から「ハンザキ」という別名で呼ばれることもあります。非常に長寿かつ高い再生力を持ってはいますが、流石に半分に割かれても死なないということはないようです。

 日本では国の特別天然記念物に指定されているので、もし、ある日、オオサンショウウオがご自宅のそばに現れた場合、決して触ったり捕まえたりしてはいけません。死体であった場合も触ったり勝手に持ち帰ったりすることは禁止されています。元々の生息地の川で見かけた時はそっと見守ってあげてください。大雨による増水などの影響で普段とは違う場所に出現していたり、怪我をしたりしている場合は地域の文化財保護課に電話をすることが推奨されています。

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