ムービーシーンはゲームを彩る重要なパートの一つ。そのゲームの物語性や先の展開を想像させる為に、なくてはならない存在だ。
たとえば「ファイナルファンタジーシリーズ」を始めとしたスクウェア・エニックスの作品は、その壮大なスケールと現行の最高水準の美麗グラフィックを駆使したムービーシーンが非常に高い評価を得ている。
壮大なスケールのムービーシーンというのは、メジャーゲームだけのモノではない。インディーズゲーム界隈でも、とあるゲームのムービーパートが"気合が入りまくってる"と話題を呼んでいる。
「千年に一度の赤い月の夜、ルーンは邪悪な輝きを放ち、生贄を求めるだろう……」
「彼らの渇きを潤すのは、戦いの中で流れる血のみ……」
「勝った者が勝者であり、敗けた者こそが敗者。」
少し前にネットで流行った某政治家の構文も入っている辺りが笑えるが、「ダークソウルシリーズ」を彷彿とさせるような、とてもダークな世界観…。
このゲームのタイトルは「MAD RUNES BADGAME」。ゲーム開発イベントの一種である「Unity1週間ゲームジャム」というイベントに投稿された作品だ。
マッドルーンズバッドゲーム…マルバツゲーム?
そう、このゲームは、美麗で壮大なムービーで始まるが、やっている事はマルバツゲームなのだ。
「ムービーパートに気合を入れすぎて、CPU戦を作る事まで手が回らなかった」と語る作者のトモぞヴPさん(@TomozoP)にお話を聞いた。
橋本ダイスケ(以下、橋本):相当気合いの入ったムービーですが、製作期間はいかほどだったのでしょうか?
トモぞヴP:1週間でゲームを作るイベントだったので、構想に3日、制作に4日ほどです。モデルなどはアセット(既存の素材)をうまいこと使っています。
橋本:1週間でこれだけのムービーが作れるんですね…驚きです。因縁を含みそうな、壮大なストーリーが展開していきそうな気配ですが、マールとバッツはマルバツゲーム以外する事は無いのでしょうか…?
トモぞヴP:彼らはマルバツゲームをするために生まれた存在なので、本望でしょう。
橋本:本望なんですか(笑)。ソウルシリーズの様な世界観ですが、この世界観で別のゲームを作ったり…等はあるのでしょうか?
トモぞヴP:じゃんけんとかでしょうか?
橋本:やっぱりシンプルな勝負になるんですね…(笑)。今後、CPU戦が実装される事はあるのでしょうか?
トモぞヴP:それはルーンの気分次第です。
橋本:気分が乗る事を期待しておきます(笑)。今後の展望や、新作のお話があれば、お教えいただけますか?
トモぞヴP:ここ最近はおかしな3Dゲームばかり作っていたので、少し趣向を変えたものを作るかもしれません。
◇ ◇
独特の発想を展開していく氏は、過去には、ひたすらドーナツに穴を開けていく「ドーナツホール工業株式会社」や、相撲取りが土俵の上でベーゴマの様に回転してお互いを弾き合う「The SUMOU」等の、シンプルながらもついつい遊んでしまうようなゲームをUnityで開発しているクリエイターだ。
今後のゲーム開発も、きっとどこか、斜め上の発想が飛んでくるに違いない。今後の活躍にも注目しつつ、マルバツゲームで生贄を捧げる事にしよう。