漫画家40周年の桂正和 「ウイングマン」続編に意欲 「I"s」ヒロイン伊織は「好きじゃない」

山本 鋼平 山本 鋼平

 「電影少女」「I"s」で知られる漫画家の桂正和(59)が26日、池袋・サンシャインシティで27日に開幕する「桂正和~キャラクターデザインの世界展」の内覧会イベントに参加し、1983年に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始しテレビアニメ化された出世作「ウイングマン」の続編に意欲を示した。

 画業40周年を記念した展覧会。この日はコスプレイヤーの伊織もえ、よきゅーんとトークイベントを実施し「40年やってきて良かった。ぴんとは来ていないのですが、気がつけば40年でしたね」と感慨にふけった。

 イベント後の取材では今後の目標について吐露。最近関心を強めたという怪談をテーマにした新作漫画に加えて「ZETMAN」の続編執筆。「ウイングマン」「電影少女」のリメイクを目標に掲げた。桂は「電影少女は難しいんですが、ウイングマンはアイデアがあります。前の続きを描いて、現代風にアレンジしたいですね。リブートというより続編です。その方が面白いと思います」と語った。

 単行本全13巻の最終回では、アオイの命を救うため、主人公の健太がウイングマンの記憶を全て捨てる決断が描かれた。桂は「全てを忘れた健太と、全てを憶えているアオイが出会ったら、ドラマが生まれると思っています」とアイデアの一端を明かした。

 また、トークイベントでは、「I"s」のヒロイン葦月伊織の大ファンであることから、活動名を選んだ伊織もえが、キャラクターのコスプレ姿で登場。桂は葦月伊織について「王道の恋愛ものを描こうと思って、万人に受ける女の子を考えました。僕は嫌いなんだよな。嫌いというか、面白くない。誰にでも受け入れられるのはね」と話し、伊織もえや会場のファンからどよめきを誘っていた。「(編集者から)ドラゴンボールの悟空は透明なので受けると言われたのと同じ理論で、伊織には色を持たせないようにして、誰もがかわいい、と思うキャラを描きました。だから人としては面白くない。計算して、数学的にできています」と分析を続けた。

 自分自身への分析も披露。「中途半端な漫画家ですね。器用貧乏というか、一本ドーンとしたビッグヒットがない。僕の中では三塁打くらい。点は入るがホームランではない。本当にそう思っていますよ」。後の取材でも「ドラゴンボールの鳥山明さんとか、ワンピース、鬼滅の刃は場外ホームランですが、僕の中からは出てきません。でも、40年間やれたのはそのおかげとも思っています。でっかいホームランを打つと疲弊してしまいます。何となく活躍して、ここまで来ました。これからもマイペースでやっていきますよ」と補足した。謙虚かつ冷静な分析を貫いたからこそ、途絶えることのない幅広い活躍が続いたのだと感じさせた。

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