元人気漫才師から街場のファッショニスタへ 「ライバルはファッションモンスターこと長谷兄です!」

橋本 未来 橋本 未来

 いま、SNSで注目を集めるファッション系のアカウントがある。運営するのは、誰もが知る有名ショップの店員やカリスマモデルではない。かつて“若手芸人No.1のツッコミ”と呼ばれ、数々の賞レースを勝ち抜いたお笑いコンビ「シェイクダウン」の後藤秀樹だ。

 実力派コンビとして活躍した後、2014年に芸人を引退。現在は、一般人として生活をしながら、SNSでプロ顔負けのアメカジや古着系のファッションコーディネートを発信し、一部のファンから熱い反響を得ている。彼はなぜ、芸人引退後にこのような活動をはじめたのだろうか。後藤本人に現在の心境を大いに語ってもらった。

ファッションへの思いが再燃し、人生が色づいた

 芸人引退後、これまでの華やかな世界と打って変わり、大阪にある遊園地の警備スタッフとして第二の人生をスタートさせた。「芸人時代のように人に見られるワケじゃないので、服装に気を使わなくなったんですよ。仕事場の服で通勤したり、上下スウェットばかり着ていたりね。そんな時にふと、『このままダサいおっちゃんになるんかな?』と思ったんです」と話す、後藤。

 「思い詰めるほどではなかった」という後藤だが、このままの人生に漠然として不安を抱えていたとき、親類からSNSをすすめられたという。「今までやったことないけど、何か変わるかもしれんと。それで、Twitterを開設してみたら、むかしの芸人時代の仲間からワァーっと反響があって。嬉しい気持ちと、『こんな姿は見せられへん』という思いになって、服装を気にするようになったんです」。振り返ると、高校生の頃からDCブランドを着こなし、芸人時代もポール・スミスやTAKEO KIKUCHIなどのブランドを好んで着ていたファッション好き。その思いが再燃し、SNSで発信するようになったと話す。

 「やっぱり、憧れはダウンタウンの浜田さんなんです。だから、アメカジや古着が好きで。少しずつ買い集めて、今ではリーバイス501xxを頂点に50本ぐらいはジーンズを持っています。ほかのアイテムを含めると、もっと数はありますね。嫁には大きな声で言えないですが…(笑)」。とはいえ、後藤の妻は「かっこいいパパの方が好き」と温かくその思いを応援し、後藤自身もファッションへの情熱を取り戻してからは人生に張り合いが出たという。

 気付けば、アメカジや古着を好むユーザーとの繋がりも生まれ、ファッション関連の情報を発信すれば熱い反響が届くほど盛り上がりを見せている。そして後藤は、今後の夢としてある構想を語ってくれた。

 「ティーアップの長谷川さんが、ブランド『HASE2』を立ち上げたじゃないですか。あんなん憧れますね。僕は芸人の時からヒデキって下の名前が愛称だったので、『HIDEKI』っていう名前でブランドを立ち上げられたら最高です。第三の人生は、それで決まりですかね!」。未だ衰えを見せないツッコミを武器に、ファッション業界に鋭くツッコミを入れ、新風を巻き起こす日もそう遠くはないだろう。

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