ラジオ局の名物スタジオ55年の歴史に幕 ばんばひろふみ「登竜門だった」

杉田 康人 杉田 康人
55年の歴史に幕を閉じるさんちかサテライトスタジオ(ラジオ関西提供)
55年の歴史に幕を閉じるさんちかサテライトスタジオ(ラジオ関西提供)

 兵庫県を中心に関西一帯を聴取エリアとするラジオ関西は、神戸市の繁華街・三宮の地下街「さんちか」にある同局の公開放送用スタジオ「さんちかサテライトスタジオ」(サテスタ)の運用を3月31日で終了すると発表した。

 サテスタはラジオ局のサテライトスタジオ開設ブームの中、1967年(昭和42)9月1日に運用を開始。最盛期は平日昼と午後、夕方に帯番組が放送され、多くの著名人やアーティストが出演し、多くの人だかりができた。神戸市の三宮再整備計画でさんちかの大規模改修工事が行われるため、55年の歴史に幕を閉じることになった。

 スタジオの常駐スタッフだった同局の元プロデューサーによると「生放送なので、スタジオの前でトラブルが起きないかヒヤヒヤしながらの放送。時にお客さん、ファン同士のケンカもあった」と振り返る。

 フォークグループのアリスがゲストとして来演し、生演奏をした時はファンが殺到。客席の熱気で、スタジオの防音ガラスが曇ったという。「スタッフがモップを持って来て、ガラスをきれいにした。後にも先にも、あんなことはあの時だけだった」と、ラジオが今よりも熱気を帯びていた時代のエピソードを語った。

 同局の人気番組「ばんばひろふみ!ラジオ・DE・しょー!」(水曜、前10・00)を担当する歌手のばんばひろふみ(71)はサテスタ出身。「一番の思い出は1974年4月から1年間、土曜のお昼に放送していた『バンバン・タカコのサテライトスペシャル』です。まだヒット曲がなかったバンバンの『冬木立』を『この曲は絶対売れる!』と毎週のようにオンエアし、ときには生演奏もしました。売れなかったんですけどね」と、当時を懐かしんだ。

 1975年にフォークグループ・バンバンとして「いちご白書をもう一度」の大ヒットを飛ばしたばんばは「ヒットした背景にはあの番組があったと思います。さんちかサテライトスタジオはまさに当時の若いミュージシャンの登竜門でした!」とした。

 ラジオ関西では3月7~11日にかけ、サテスタゆかりのパーソナリティーによる特番・ありがとうさんちかサテスタ「さんちかTime goes on」(後1・37)を放送。原田伸郎、堀内孝雄、イルカ、もんたよしのりとともに名を連ねたばんばは、3月8日放送分を担当する。「その時のパートナー・増井孝子さんとふたりでもう一度サテスタから放送をお届けできるのが、とてもうれしいです」と、惜別の時を語った。

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