寅年の阪神打順、研究家カレンダーで検証 2010年は史上最強打線でV逸、60年ぶり寅年優勝への注目点

北村 泰介 北村 泰介
大森正樹さんが作成した阪神カレンダー2022年版。「打順別最多スタメン選手」「スタメン最多パターン回数」など詳細なデータが満載
大森正樹さんが作成した阪神カレンダー2022年版。「打順別最多スタメン選手」「スタメン最多パターン回数」など詳細なデータが満載

 コロナ禍の中、プロ野球12球団が1日、キャンプインした。実戦前のデータ分析もまた楽しい。2005年からテーマを変えながら阪神カレンダーを自主製作している兵庫県在住の会社員・大森正樹さんから届けられた22年版のトピックは「打順」。現在まで続くプロ野球の最初のシーズンである1936(昭和11)年から昨年まで、阪神の公式戦1万904試合を対象に各シーズンの主な打順が記されている。よろず~ニュースでは、タイガースにちなんで「寅年」の打順を検証した。(文中選手敬称略)

 タイガースの寅年は1938年から2010年まで7回あった。大森さんの新作カレンダーに記載された「スタメン最多パターン回数」から、寅年の打順をピックアップしてみた。

 【寅年の阪神打順】

1938年(1)松木(2)藤村(3)山口(4)景浦(5)伊賀上(6)藤井勇(7)御園生(8)田中(9)岡田

  50年(1)白坂(2)河西(3)金田(4)藤村(5)渡辺博(6)徳網(7)櫟(いちい)(8)西江(9)干場

  62年(1)吉田(2)鎌田(3)並木(4)藤本(5)三宅(6)ソロムコ(7)藤井栄(8)山本(9)小山

  74年(1)テーラー(2)一枝(3)藤田(4)田渕(5)遠井(6)池田(7)後藤(8)川藤(9)谷村

  86年(1)真弓(2)弘田(3)バース(4)岡田(5)柏原(6)佐野(7)平田(8)嶋田(9)遠山

  98年(1)坪井(2)今岡(3)ハンセン(4)大豊(5)桧山(6)和田(7)新庄(8)矢野(9)藪

2010年(1)マートン(2)平野(3)鳥谷(4)新井(5)ブラゼル(6)金本(7)城島(8)俊介(9)久保

  ◆         ◆     ◆

 寅年シーズンの順位は、1リーグ(8球団)2シーズン制の38年(石本秀一監督)が、春季優勝(35試合)、秋季2位(40試合)。戦後の2リーグ制では、50年(松木謙治郎監督)が4位(140試合)、62年(藤本定義監督)が優勝(133試合)、74年(金田正泰監督)が4位(130試合)。日本一の翌86年(吉田義男監督)は3位(130試合)で、この年は主軸の掛布雅之が負傷欠場し、日本ハムから移籍していた柏原純一が代役を務めた。98年(吉田義男監督)は6位(135試合)。今世紀最初の寅年である10年(真弓明信監督)は中日に1ゲーム差の2位(144試合)だった。

 大森さんは「前回の2010年は優勝してもおかしくない成績でした。あの打線は史上最強であったかもしれません。チーム打率2割9分、3割打者5人(平野、マートン、新井、城島、鳥谷。ブラゼルは2割9分6厘)。100打点が3人(新井、鳥谷、ブラゼル。打点91はマートン、城島)。しかし、翌年、飛ばない統一球で野球が急変。全く打てなくなったので、2010年は本当に思い出深いです。矢野の引退したシーズンでもありました。矢野の引退試合(9月30日)で村田(当時横浜)が藤川から3ランを打たなかったら、阪神は優勝していたでしょう。悔やまれます」と振り返る。

 ということで、戦後の寅年Vは62年のみ。75勝55敗の貯金20で、2位大洋(現DeNA)に4ゲーム差を付けてセ・リーグ優勝を遂げた。投手陣では村山実と小山正明の2枚看板が大車輪の活躍を見せ、村山は25勝14敗、防御率1・20で最優秀防御率のタイトルを獲得。小山は27勝11敗(30勝の中日・権藤博に次ぐ2位)、防御率1・66(2位)、最高勝率(7割1分1厘)と最多奪三振(270)の2冠に輝いたが、MVPは村山が初受賞した。

 60年ぶりの寅年優勝へ、絶対的な守護神・スアレスが不在となる今季は、セーフティーリードで最終回を迎えられるかどうかも焦点となり、得点力の強化が求められる。

 カレンダーに記載された「スタメン最多パターン回数」による21年の打順は(1)近本(2)糸原(3)マルテ(4)大山(5)サンズ(6)佐藤輝(7)梅野(8)中野(9)西。この中でサンズは退団。残留したロハス・ジュニアが後釜に座れるか?昨季後半のスランプを克服して、佐藤輝がクリーンアップに定着できるか?

 記者は今季の打順を(1)近本(2)中野(3)マルテ(4)大山(5)佐藤輝(6)ロハス(7)糸原(8)梅野(9)投手…とオーソドックスに予想。大森さんは「(1)近本(2)中野(3)糸原(4)大山(5)マルテ(6)佐藤輝(7)ロハス(8)坂本(9)秋山」と予想した。糸原3番、正捕手が新主将の坂本という点に注目だ。

  強いシーズンはおおむね打順が固定されている。最下位の00年(野村克也監督)は136試合で135通りだったが、優勝した85年(吉田監督)は82通り(130試合)、03年(星野仙一監督)は96通り(140試合)、05年(岡田彰布監督)は78通り(146試合)と大きく減った。

  指揮官がキャンプイン前日に今季限りでの退任を表明した阪神。その動向が注目される。

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