受験シーズンに突入した。親として子どもの受験結果に一喜一憂し、職場などで話題にすることもあるだろう。その際、思わぬ「失言」をしてしまった時、あなたならどうする?「大人研究」のパイオニアにして第一人者、『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その打開策をお伝えする。
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【今回のピンチ】
「息子は受験生。『滑り止めの〇〇大しか受からなくて』と上司に話したら、『うちの息子はそこに落ちたけどね』と……」
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大人の毎日はピンチの連続です。華麗な切り返しで、平和な未来を切り開きましょう。
この季節、もっとも気を付けなければならないのが、子どもの受験の話題。我が子の不甲斐なさを嘆くつもりで「滑り止めの〇〇大しか」と上司に話したら、こう返されてしまいました。ああ、上司の子どもも受験生だと知っていたら、迂闊(うかつ)にデリケートな話題を振ったりしないのに!
フォローするつもりで、
「いや、あの、その、人によって本命と滑り止めは違いますから」
なんて言うのは最悪。「ウチの息子はあなたの息子とはデキが違う」という意味にしか聞こえず、火に油を注ぐことになります。
「申し訳ありません。そうとは知らず」と謝るのも、「受験なんて時の運ですよ」と慰めるのも禁物です。いずれも、上司に念入りに屈辱感を覚えさせる効果しかありません。
ここは、いかに素早く「勝ち負け」の話から脱却するかがポイント。
「いやあ、子どもの受験というのは、親にとっていい迷惑でしかないですよね。気苦労は多いし、お金はかかるし」
こんなセリフを繰り出して、「受験」という共通の敵を悪しざまにののしり、「受験生の親同士」という強い絆があるような気になってもらいましょう。
その上で、ボソッと「しかも、こんなことになるなんて……」とつぶやきつつ、頭をかきむしりながら苦渋の表情を浮かべます。
上司だって鬼ではありません。ここで笑って許さないと、器が小さい人間に見えるという計算も働きます。おそらく、
「ハハハ、もう気にするな」
と、表面上は鷹揚(おうよう)な態度を見せてくれるはず。ムッとしたままだとしても、やるだけのことをやっておけば悔いはありません。
当然ですが、その上司の前で受験や息子の学生生活の話題は、以後絶対に禁物です。