「ポンペイ展」で出土品をグッズ化した「炭化したパンのクッション」が話題に

松田 和城 松田 和城

 紀元79年に発生したヴェスヴィオ山の大規模噴火に飲み込まれた古代ローマ帝国の都市・ポンペイ。その遺跡の膨大な名品が出品される特別展「ポンペイ」が、今月14日から東京国立博物館で開催されており、出土品である「炭化したパン」をグッズ化した「炭化したパンのクッション」(税込み4950円)がネット上を中心に話題となっている。広報担当の平田直樹氏は取材に応じ「『○○展に行ってきた。新しい発見ができて楽しかった』という思い出が、形として残るようなグッズを提供できればという思いで、企画開発をしました」と話した。

 クッションの直径は約43cm、厚みは約12cm。パンのひび割れまで細かく再現されている。触り心地は柔らかく、ツイッターでは「リモートワークにぴったり」「飼っている犬や猫が気に入っている」というツイートが見られ、さまざまな用途で使用されているという。「『炭化したパン』は、ポンペイという街の歴史や文化、生活を伝えるうえで、重要な作品です。(展示物の)『パン屋の店先』などとあわせて、古代ローマの人々の生活をリアルに感じていただけると思い、グッズに展開しています」と説明した。ちなみに、香りを出す成分が会場の展示作品に影響を与える可能性があるため炭の香りはしない。

 作品の平面画像から、立体的なクッションを作るのに何度も試行錯誤を重ねた。「ひび割れについてもサイズなど確認しながら制作しています。また、自宅で使いやすいサイズや色味なども意識することや、何の展覧会で買ったのかを思い出していただきたいので、「PONPEII」とオシャレに文字を入れています」と明かした。現在、日によっては閉店間際に売り切れる場合があるが、翌日には新たに納品して対応しているという。

 一方で、過剰な盛り上がりによる誤認に注意を促した。サンリオの人気キャラクター「ポムポムプリン」とのコラボグッズは、モザイク画「猛犬注意」の黒犬をイメージして作られた。同キャラがゴールデンレトリバーであることが由来している。しかし、その真っ黒な見た目と話題になったクッションが混同してしまったことで「炭化したポムポムプリン」と誤った認識が広がってしまっているのが、一部で見受けられるという。「しっかりと正しい情報を確認していただきたいです」と呼びかけた。

 同氏によると年齢層が若くなるほど、ポンペイのことを知らない人が増えるという。幅広く、特に若い層の人に作品やポンペイの歴史に興味をもってもらうためグッズ以外でもさまざまな工夫に挑戦。ポスターに展示作品をほとんど載せず、映画のようなビジュアルと「そこにいた。」というキャッチコピーを採用し、若者の目に留まりやすいようにした。

また、会場内での撮影を可能にするなど今までにない展覧会を目指した。「ポンペイ展のことを知っていただくのが、グッズがキッカケの人もいるかもしれませんが、どのような理由であれ、ポンペイ展に興味を持っていただき、古代ローマ都市ポンペイの文化や都市の生活を知っていただける機会になればうれしいです」と語った。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース