将棋の第15回朝日杯オープン戦本戦トーナメント準々決勝が16日、名古屋市内で指され、藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖との四冠)は109手で永瀬拓矢王座に敗退。同大会で初めて準決勝進出を逃した。
藤井四冠は午前中の対局で船江恒平六段を下し、準々決勝に進出。午後に行われた準々決勝は振り駒の結果、永瀬王座が先手となり、戦型は雁木模様に。序盤は互角の戦いが続いたが、終盤が近づくあたりから徐々に形勢が永瀬王座に傾き始め、藤井四冠はペースをつかみきれないまま屈した。
藤井四冠にとって同大会は相性のいい棋戦で、初登場となった2018年に優勝し、続く19年も優勝。20年は準決勝で千田翔太七段に敗れたが、昨年も優勝しており、準決勝進出を逃すのは初めてとなった。
これで藤井四冠の今年度成績は47勝12敗となり、勝率は・797。これまでデビューから毎年、年間勝率は8割以上をキープしてきたが、その維持にも暗雲が垂れ込めてきた。また、直近10局でも6勝4敗と、藤井四冠にとっては〝不調〟と言える数字。史上4人目、最年少での五冠達成に挑んでいる王将戦七番勝負への影響も懸念される結果となった。
終局後の感想戦では、「今日は負けてしまったんですけど、皆さまには(準決勝・決勝戦の会場である)有楽町にも来ていただければなと思います」とジョークも交えて話した藤井四冠。だが、その後のインタビューでは「若干、主張が通せた部分もあったと思うんですけど、その後攻め込まれる展開になってしまった。ちょっと判断ミスだったかと」と悔しさをのぞかせた。その上で「結果は残念ですけど、内容をしっかり振り返って次につなげるようにしたいと思います」と淡々と回顧。王将戦に向けても「少しでも内容を良くしていけるように頑張りたいと思います」と穏やかに話した。