アニメ「サザエさん」で湯沸器の登場有無を毎回調査し、ツイッターに画像を投稿する。そんな活動をkebiyama (@kebiyama)さんは、2017年7月2日から続けている。
今月9日の日曜日。台所にサザエ、フネ、カツオ、ワカメ、タラオが集まった場面奥に白い湯沸器が映り込む画像とともに「新年一発目のサザエさん1話目にて湯沸器登場。幸先よいスタートを切りました。今年も毎週湯沸器が出るかどうかチェックしていきます」と投稿。さらに番組最後の次週予告に湯沸器が登場する画像とともに「次回予告チャンス演出で来週も湯沸器登場確定しました!」と喜びを表現。昨年12月21日の投稿では花沢さん家の台所に湯沸器が登場し「うおぉぉぉ!!花沢さん家に湯沸器あったの!?2017年から湯沸器の確認作業をしてますが初めて見た!めっちゃレア!!」と大感激。画面端の背景に映る立方体がこれほど心を動かすのかと、人間の奥深さを感じずにはいられなかった。
Kebiyamaさんはガス関連の仕事に就いており「サザエさんはもともと好きで毎週見ていたのですが、湯沸器が毎回どこかで登場しているなと気づきました。湯沸器って今も販売していますが、新築の家なんかだと絶対ついていない設備です。ドラマやアニメでもサザエさん家のような昔ながらの家庭を連想させるのにはちょうどいいアイテムだと思います。ですから、湯沸器がどのくらいの頻度でサザエさんに出てくるのか、一度統計を取ろうと考えました」と活動を開始。湯沸器が登場しなかったのは17年は1週(11月19日)、18年は3週(5月27日、7月8日、11月25日)、19年は4週(1月13日、3月17日、4月14日、5月19日)、20年は4週(2月16日、3月22日、5月17日、11月15日)、昨年は1週(4月4日)だったという。
「湯沸器が出てくるパターンも色々ありまして、一番多いのがサザエさんやフネさんが料理や皿洗いをしているシーンで、私はこれを『基本』と呼んでいます。それからストーリー上で湯沸器出現を左右する超重要人物として、三河屋の御用聞き三郎くん、通称サブちゃんがいます。ちわ~三河屋で~す!の合言葉とともに勝手口から侵入するのですが、勝手口の隣は湯沸器なのでサブちゃんとともに必ず湯沸器も登場します。その信頼度は体感80パーセントを超えるので私は『三郎チャンス』と呼んでいます。ただし、屋外や正面玄関前での遭遇だと磯野家に侵入しないので湯沸器の登場もありません。その他にも三郎くん以外の出前が勝手口からやってくる『勝手口チャンス』や、台所から居間へ移動する際、のれんを上げた瞬間だけチラッと湯沸器が映る『のれんチャンス』、台所と風呂場がつながっているため風呂上りに脱衣場が移ると湯沸器も一緒に映る『風呂移動チャンス』などがあります。サザエさんの作品柄、基本的には住宅設備が更新されていかないことを理解した上で、磯野家以外のサブキャラの住宅設備がどんなものになっているかを確認していくのも楽しみのひとつとなっています。お隣の伊佐坂先生宅やノリスケさんの住んでいる団地、花沢不動産やカツオくんの同級生の早川さん宅で湯沸器を確認しています」
ガス関連の仕事だけに、湯沸器以外にも調理コンロ、給油器の登場にも目を光らせる。ドラマ、アニメ、CM、ニュース、ユーチューブなどから画像を引用しつつコメントを付ける。コンロの形状から有名企業CMとセクシービデオの撮影場所が同じであることを発見するなど、千里眼を発揮している。
Kebiyamaさんは「例えばこのアニメの主人公の家の給湯器リモコンは〇〇社製のインターフォン付タイプでいいお部屋に住んでるな~、とか、このドラマの登場人物はバランス釜を使っているから団地住まいなのかな、とか、その機器を使用している登場人物のバックグラウンドがある程度読めます。こういう設備の視点から物語をみていくのが個人的に面白くて気づいたらその都度ツイートするようになりました」と楽しさを説明。「推しポイントとしては、もう市場にないようなレアな機器を探し見つけた時でしょうか。過去にセクシー系動画のスナップにナショナル製ビルトインコンロが写っているのを見つけた時には大変盛り上がりました。撮影用のハウススタジオなんかだと本格的な料理を作ったりしないでしょうから物持ちがよく残っているのだと思います。ドラマだとガス機器の設置基準を満たしているかどうかも気にしながら見ています。湯沸器で多いのがガス管の接続がゴム管でつながれているものなのですが、ゴムホースの劣化などによるガス漏れの危険性があるため平成9(1997)年以降は法律の改正で湯沸器へのゴム管接続は禁止され、ねじ接続に統一されました。このゴム管接続状態の湯沸器がドラマに出てくると『やめてくれー』とテレビに突っ込んでいます」と日々の様子を語った。
「色々な趣味を持った方々がたくさんいることが可視化され、気軽にアクセスできるようになって大変便利で面白いなと感じました。今後もひとつの趣味として湯沸器の観察活動を続けていけたら」とツイッターの魅力を語ったKebiyamaさん。「サザエさん」ともども活動の長期継続を誓った。