31字に想いをのせて~学生時代、和歌で告白しあった逸話が話題 万葉集で思いを伝えると古今集で返事が

中将 タカノリ 中将 タカノリ

学生時代、初めて交際した相手と和歌で告白しあったというエピソードがSNS上で大きな注目を集めている。

「めちゃくちゃ恥ずかしい話をしようか。
高校生の時に初めてお付き合いした人は、わたしが万葉集から一首を選んで告白したら、古今集(百人一首)からOKの返事をくれるような人だった。
そのときにもらった手紙は、いまでも持ってる」

と件のエピソードを紹介したのは、趣味で歴史創作を手がけている主婦のNerilka(@Earth_Chant)さん。

言うに言われぬ思いを和歌に託した青春時代のなんとも甘酸っぱい思い出…。Nerilkaさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「ある日和歌を渡されたが意味がわからず、調べたところそれが古今集の中の一首で告白されているのだと気づいて無学を恥じ、和歌を学んだという太田道灌のような思い出があります。」

「めちゃくちゃ素敵ですやん。。
忍ぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで
学生の頃からこれめっちゃ好きです。。」

「埼玉県と長野県で遠距離で交際していた時に手紙に添えた万葉集の一首を思い出しました
ひさかたの天飛ぶ雲にありてしか君を相見むおつる日なしに
贈った相手、今は妻になってくれております
とても懐かしい気持ちを思い出させて頂きました
ありがとうございます」

など数々の共感のコメントが寄せられている。

Nerilkaさんにお話を聞いた。

ーー実際にどんな和歌をやり取りしたかについては伏せられるとのことですが、おおよその大意をヒントとしてお聞かせいただけないでしょうか?

Nerilka:リプ欄や引用RTにも和歌の推察がいくつかあったのですが、今のところ正解はありません。相手の方から頂いた和歌については、古今集から百人一首に採用されたのは4首しかないので、そのうちのどれかです。わたしが贈った歌は万葉集第十一巻からの引用ですが、和歌に馴染みのない人でも一読して意味がわかるような歌です。

ーーお相手はどのような方だったか差し支えない範囲でお聞かせください。古典文学の素養がある方だったのでしょうか?

Nerilka:相手の方は他県に住んでいました。部活動の合宿で遠征した際に、帰りの電車のボックス席で向かいに座っていたのを、わたしが一目惚れして住所を交換しました。いまでは考えられないような出会いですが、そこから文通がはじまりました。

相手の方はお住まいの県内でもトップクラスの進学校に通っていたので、古典文学に限らず教養レベルは高かったと思います。当時は「あさきゆめみし」や「なんて素敵なジャパネスク」に感化されて平安時代の文化に憧れていたので、手紙に香を焚きしめて送ると、相手の方も同じように返してくれていました。

ーーこれまでのSNSの反響についてご感想をお聞かせください。

Nerilka:いつも片手で足りるくらいの反応があれば満足していたので、こんなに大きな反響があったことに驚いています。好意的な反応ばかりだったことも嬉しかったです。また、同様の経験をした方の成功談や失敗談、ほかにもいろんな恋の思い出を寄せて頂いて、あたたかい気持ちになりました。

◇ ◇

このエピソードはポケベルやファックスが広く普及する以前、連絡手段が電話や手紙に限られていた時代のものだという。とは言え、和歌が時代を超え現代の我々にもうったえる普遍性を持っていることは確かだ。特に、現代の直接的な話法に無い和歌独特の趣き、深みは恋愛のやりとりにはうってつけやもしれない。

Nerilkaさん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/Earth_Chant

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