講談社「週刊少年マガジン」編集部は23日、漫画作品持ち込みのウェブでの受け付けを開始すると発表した。漫画家志望者が遠方から東京の編集部に出向く労力、コロナ禍での外出や対面での会話への不安を解消する狙いがある。その一方、もはや一般的なシステムといえるウェブ持ち込みがなぜ今まで発表されなかったのか、編集者からコメントが得られるマンガ投稿サイト「マガジンデビュー」との差異に関して、編集部に話を聞いた。
担当者は「2018年に週刊少年マガジンが『マガジンデビュー』を始めた当初は、オンライン上での原稿講評は珍しかったです。今年になって多くの編集部が導入しており、一般的なサービスになりつつあると思います」と語った。同サービスでは投稿作品がサイト上に公開され、編集者から必ず講評があり、作者に担当編集者がつく可能性がある。投稿と閲覧は無料。作者には作品が広く読者に届き、編集者の講評を得られる利点がある。読者は作品と講評を楽しむことができる。編集部は新人発掘に活用する利点があり、漫画配信サイト・マガジンポケットに「隣の黒木さんは飲むとヤバイ」連載中のきつねこ氏らをデビューに導いてきた。
週刊少年マガジンではその後、コロナ禍を受け今年夏までには徐々にウェブ持ち込みの受付を開始していたという。昨年11月には公式サイトで告知していた。担当者は「ただし、この時点では編集部内で『持ち込み』という形で対応する体制が完全に整っていなかったこともあり、大々的な告知はせずにおりました」と語り、マガジンデビューとの違いを「以前より編集部は、新人漫画家向けの作品投稿サイト『マガジンデビュー』を利用してもらっていますが、オープンなウェブ上には投稿しづらい層や事情のある方もいます。ウェブ持ち込みはそんな方でも気軽にご利用いただけるクローズドなものです」と説明した。
今回の発表にあたり、ウェブ投稿から3営業日以内に、丁寧な講評を投稿者に返す方針を掲げた編集部。担当者は「オンライン投稿でもなく、新人賞でもなく、『持ち込み』というからには持ち込まれた原稿にはなるべく全てに講評をお返ししたいと考えています。また、リアルな持ち込み同様とまではいきませんが、なるべくスピーディに編集部からのお戻しをお届けしたいと思っています。体制をしっかり整えてからの大々的なアナウンスとなったため、このタイミングになってしまいました」と語った。
同誌の栗田編集長は「自分の才能なんて自分じゃ分かりませんよ。持ち込みするほど自信はない…そんなアナタのためにこのウェブ投稿はあります。僕らは才能を見つけ出すプロです!任せて!どんな作品も馬鹿にせず丁寧に読むことをお約束します」とコメント。「不滅のあなたへ」「菌と鉄」「喧嘩商売」「新宿スワン」担当を務めた新人賞の安友チーフは「ウェブ持ち込み試験運用開始から数ヵ月、遠方で持ち込みが難しい方はもちろん、初めて漫画を描き上げた方、他誌で活動中だけど自作の感想を聞いてみたい新人漫画家の方、企画や連載ネームを持ち込みたいプロ漫画家の方からも投稿をいただいてます。いろんなニーズに柔軟に応えていきますので、気軽に持ち込んでください!部員一同でリアクションしてます!」と呼び掛けた。編集部への持ち込みは、これまで同様に継続する。ウェブ持ち込みの詳細は同誌公式サイトまで。