スペインでかつてない自転車ブーム「品切れ状態は当分続く」 電動スケーターも急増 コロナで変わる世界

島田 徹 島田 徹
写真はイメージです(connel_design/stock.adobe.com)
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 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中で人々の生活や習慣が大きく変わったが、スペインでは特に都市部で今これまでにないほどの自転車ブームが訪れている。

 同国の自転車メーカー協会(AMBE)によると、2020年の自転車平均価格は856ユーロ(約11万円)でこれは前年比22%増。また年間販売数は150万台で、こちらは同比24・1%の急増となっている。あるメーカーのマーケティングディレクターは「自転車は流行になり、欲しい人みんなが持てるだけのものがない。販売数はすごい勢いで伸びており、入ってくる数はわずか。品切れ状態は当分続く」と需要が供給を大きく上回っている状態としている。販売員が唯一アドバイスできるのはお目当のモデルが入荷されるのを辛抱強く待つか、ランクが下のモデルを割高の価格で買うかの二者択一だという。

 これに加えて新しい形態の移動手段も広い意味での自転車ブームを支えているとみられる。電動スケーターは新たに35万人のユーザーを獲得したとされ、すでにいる100万人の利用者がさらに急増している格好だ。

  しかし、なぜ自転車なのか?スポーツ用品チェーン、デカスロンの担当者は「屋外での運動するという要求に応えるものという面以外に、公共交通機関では事実上不可能なソーシャルディスタンスの確保という点で有効だからだろう」とみている。

 スペインで緊急事態宣言が明けた昨年5月、屋外での個人競技でのスポーツが解禁となってから自転車需要が一気に高まっていることから考えて、趣味やレジャーとしての使い方に加え、感染リスク回避の警戒感から移動手段としての需要が加味された結果一大ブームになったと言えそうだ。

  一方で首都マドリードでは、自転車専用レーンの整備状態が他地域より良くないなど、対応が遅れている点が見られる。電動スケーターに対応する交通規則の整備も同様。今後もスペインでは約200万人が交通手段として自転車利用者が増加すると想定されているだけに、早急なルール設定や設備整備といった受け皿作りが求められている。

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