犬に会いたくて旅行途中で帰宅 小さなてまり作家、寺島綾子さん【私とどうぶつ】

山本 鋼平 山本 鋼平

 動物との暮らしが人生を豊かにした。加賀ゆびぬき、小さなてまり作家の寺島綾子さんは在住する茨城県古河市や各地でワークショップを開催し、作品を集めた著書があります。11月初旬に自身4作目の実用書「野の花の小さなてまりとアクセサリー」(誠文堂新光社)の発売を控える寺島さんに、イタリアン・グレイハウンドのチチ(15歳雌、7キロ)とウィペットのテラ(2歳雄、15キロ)との日常を語っていただきました。

 女王さまのチチ、気は優しくて力持ちのテラ

 チチは気の強い女の子で、体が大きいテラを尻に敷いています。私たち夫婦が食べたプリンやヨーグルトの容器を与えると、自分だけがなめて持って行ってしまいます。女王さまというかアイドルというか、好き嫌いをハッキリ主張する性格の持ち主。私たちは2匹と一緒に寝るのですが、気に入った場所を優先させて、テラが先にいたらそこからどかせて寝床にしてしまいます。

 今はこんな調子ですが2年前、ぼんやりとして、元気をなくした時期がありました。以前一緒に暮らしていた年長のイタグレ2匹が相次いで亡くなり、チチだけが残った頃です。亡くなった1匹は男の子のロボで、もう1匹は女の子のルカ。ルカとは大げんかの後一緒に過ごすことはなく、ロボは遠巻きに見ているだけの状況でしたが、先にルカに、続いてロボに先立たれ、1匹だけになると様子が変わってしまいました。

 そこで私たちにとって初めての中型犬、ウィペットのテラを飼い始めました。すっかり元の女王さまに戻ったチチとは正反対で、テラはおとなしくておっとりした性格です。ヨーグルトの容器を持って行かれても、寝場所からどかされても、黙ってしたがいます。私が手まりの作業をしていても邪魔をすることなく、部屋に複数置いている毛布に身を包んで、どこの山にいるのか分からないくらい気配を消してしまいます。

 しかし、体が大きいだけあって、その運動能力は私の想像を上回っていました。子犬の頃は留守番中に生米を食べておなかを壊し、タンスの引き出しを開けてしまって大変でした。家では持て余すことがありますが、外で遊ぶと遠くにボールを投げてもキャッチして戻ってくるのを楽しく思います。

 18歳で亡くなったロボが人生で初めて飼った犬でした。飼い始めると思った以上に喜びが大きくて、その気持ちは今も変わりません。私は家で作業を続けることが多く、夫もインドア派なのですが、犬の散歩で外出する習慣ができました。夫の休日には一緒に散歩に出掛け、近所の広場で遊びます。生活にメリハリがつき、心が豊かになりました。仕事ででかけても帰宅するのが楽しみになりました。私は旅行が好きなのですが、以前には友人と2泊3日の予定で出発したものの、犬に会いたくて翌日に帰宅したことがあった程です。

 最近はチチが年齢のため目が見えず、耳が遠くなり、テラと一緒に散歩することが難しくなりましたが、家では2匹は相変わらず仲良くしています。犬を飼うことは大変だけど、それ以上の喜びをもたらしてくれます。特別な出来事は望んでいません。ただ穏やかに2匹と暮らしていければ、と願っています。

 ◆犬との散歩から生まれた寺島さん最新刊

 寺島綾子さんの新刊「野の花の小さなてまりとアクセサリー」は犬との暮らしが作品に生かされた。「散歩しながら草花を見るのが好きで、15年ほど写真を撮り続けていました。その写真を参考にしました」。ヒメジョオン、タンポポ、ヒメツルリバなど野の花をモチーフにした、愛らしい小さなてまり20種と、10種のてまりアクセサリーの作品と作り方が収まっている。指輪、イヤリング、ペンダントなどのアクセサリーでは、グラスコードを彩る過去最小となる直径1センチ程の手まりを紹介。「家に置いておくのはもったいない。アクセサリーに加工して持ち歩いてもらいたい。今回は簡単な模様から手こずりそうなものまで網羅できました。色を変えると花模様とは異なる魅力が生まれます。てまりは一見難しそうですが、実際は思ったより簡単で、思ったより時間がかかるもの。根気強く楽しんでいただきたいです」と語った。ぬいぐるみや刺しゅうを施した布小物などをつくっていた寺島さんは2010年、夫の転勤先の富山で金沢の加賀てまり、加賀ゆびぬきに出会った。小手毬の会・小出孝子氏、加賀ゆびぬきの会・大西由紀子氏に師事し、現在の活動に至った。ワークショップに加え、イベントでの作品制作、販売も行っている。

 誠文堂新光社の直売サイトでは「野の花の小さなてまりとアクセサリー」のサイン本、サイン本と書籍で紹介されるてまりのセット(限定10セット)が販売される。詳細は同サイトまで。

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