りゅうとローラと評論家・切通理作さん「この時間が続いてほしい」【私とどうぶつ】

山本 鋼平 山本 鋼平
観覧車前で切通理作さんとローラ(手前)、りゅう
観覧車前で切通理作さんとローラ(手前)、りゅう

 家族、仲間、仕事…人生を彩る動物の存在をクローズアップ。少し風変わりな仕事に取り組む人々による、動物とともに営む暮らしを取り上げる。ゴジラやウルトラマンをはじめとした特撮作品、映画や人文系に関する著作が多い評論家・切通理作さん(57)が、率直な思いを語った。

 柴犬とゴールデンレトリバー

 2匹との生活は8年が過ぎようとしています。高齢の父と暮らすため、実家に戻ったことがきっかけで、子どもの頃からかわいいと思っていた柴犬、りゅう(8才雄 12キロ)を飼い始めました。半年ほど後にゴールデンレトリバーのローラ(8才雌 23キロ)が加わりました。ローラは叔父が亡くなり、兄弟でただ一人存命中となった父への親孝行のつもりでした。戦前に仲が良かった犬がレトリバーだったらしいです。

 りゅうはやんちゃで手を焼きました。かじり散らかすので2才くらいまでは本棚下段には本を置けませんでした。犬の飼い方講座に行ってみたり、トレーナーの方に来ていただいたりしたこともあります。人生で初めて犬を飼いましたが、やり方として何が正しいのか、不安でしたね。

 ローラは体も大きく、りゅうにケンカを仕掛けられても体力で勝ちます。自宅に招く前に訓練を受けており、のんびりした性格なので、二頭いることでかえって秩序がもたらされるようになりました。

 ずっと文章を書く仕事をしてきましたが、犬を飼い始めて初めて経験したのが「近所づきあい」でした。父は教師で私も個人業なので、近所づきあいには無縁でした。しかし、散歩中には子どもから大人まで、りゅうやローラに笑顔を向け、話しかけてくる人もいます。散歩を通して飼い主同士の交流も始まりました。犬を介して、これほど近所のコミュニケーションが生まれるとは、と驚きました。もちろん、全ての人が犬好きとは限りません。犬を嫌う人がいる道を通らないなど、気を使うこともあります。

 実家に戻るまでの借家暮らしでは、猫を飼っていました。感情の伝わり方がまるで違いますね。犬は言葉を話せないだけで、表情やしぐさでストレートに感情をぶつけてきます。最近は夫婦とりゅう、ローラが寝室をともにするようになりました。気を許して私の体に足を乗せて休む姿を見ると、飼ったばかりの時は手を焼いたこともあり、今が実りの時なのだと感じ入ります。この時間が続いてほしいと願っています。2匹ともこれからは徐々に体力が落ちていくでしょうが、少しでも長生きしてくれるよう、一緒に暮らしていきたいです。

 

 

古書店「ネオ書房」経営で得た生活者の実感

 切通理作さんが東京・阿佐ヶ谷に古書店「ネオ書店」を経営し、間もなく2年。「初めての客商売で、お客さんが本を買ってくれる光景が不思議で、とてもありがたく思います。仕入れた本を棚に並べる時間が一番楽しくて、いつまでも浸っていたいと思います」。先代の店主が閉店を検討していることを知り、店名と店舗を引き継いだ。

 客との交流、犬との暮らしを通した近所づきあいから得た気付きがある。「ライターの仕事って、いまの時代はもう、ほとんど人と会わなくても成立できます。でも店を開いて一年もしない内にコロナ禍とぶつかって、緊急事態宣言下ひとつとっても、実際にお客さんを迎えて営業をし続けることのリアリティを当事者として知ることができたのは大きい。いろいろな人がいて、暮らしがある中で、生き残っていくという意思をそれぞれが持っているという実感があるのとないのとでは全然違うなと」。古書に加えて、駄菓子も並ぶ店頭。6月からは懐かしい10円ゲーム機を導入した。お父さん世代が遊ぶ姿を見た子どもたちが、関心を寄せる様子が楽しいのだという。

 

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