10月からTOKYO MXなどで再放送されているアニメ「ポプテピピック」が話題を集めている。本放送に起用された48人の声優が、担当話を変更して新たな収録を行い、映像にも新しい演出が加えられた異例の〝リミックス版〟が展開中。プロデューサーの須藤孝太郎氏が、よろず~ニュースの取材に応じた。
同アニメは2018年1月から3月に本放送が行われた。30分番組の前半と後半で、同じ内容を声優のみ変更して繰り返す従来にないスタイルを敢行。さらに主役のポプ子、ピピ美を演じた声優は一度だけしか担当せず、全12話で中尾隆聖や水樹奈々ら計48人の豪華声優が揃った。
再放送リミックス版第1話の前半には、本放送第12話前半で起用されたポプ子役の小山茉美、ピピ美役の三石琴乃が登場。映像では傘を持った獣のモザイクが薄くなるなど細かい演出の変化が見られた。須藤氏は「せっかくやるのであれば変えられるところは変えたいなと。基本的には再放送なので、ファンの方々は全部見ていただいた上で、視聴していると思うので、できるだけ『あ、ココ変わっている』とかそういうものを少し挟むと、最後まで見ていただける楽しみが増えるのかな、とやらせていただいていますね」と語った。
2020年1月頃、原作者・大川ぶくぶ氏から「また声優を替えたらおもしろいのでは」というアイデアを提案され再放送企画がスタート。映像も音楽も本放送で制作したものを生かせるため「簡単なことかなと思っていました」と当時は考えていた。しかし、声優のスケジュール調整など苦労は多かった。「単純に24回アフレコをしなきゃいけなかったので大変でした。7月からアフレコをやり始めて、一日で2、3回くらいに分けて行ったんです。実際やってみると結構しんどくて、10月に合わせる必要があったので時間的には厳しかったですね」と振り返った。
各話の声優キャスティングは須藤氏が考えた。「すごくギリギリまで悩みましたね。それぞれの話のネタを考慮して、『この役者さんだったらこういうネタが飛び出してくるな、こういうアドリブでもっと面白くなるんじゃないか』っていうのはある程度計算して決めていきました」と明かした。ネットでささやかれていた「シャッフルして決めているのでは」「本放送の時に各声優が全12話分を録っていたのでは」といった様々な推測は、事実ではなかった。
独創的な試みで人気を博している同作。制作側は、最初から話題作りを狙いにいったのではなく、付随的に生まれたものだと説明した。「制作現場の方で『誰もやったことがないことをやろうぜ』っていう会話はあまりないです。それが先行してしまうと結果的に〝寒い〟ものができてしまうのではないかなと。順番としてはまず作品ありきで、作品にとって一番面白いことってなんだろうってところから始めていて、それを突き詰めた結果が世に出ているんだと思います」と、言葉に力を込めた。
本放送のファンからは「内容を知っているのに次回が気になる」と期待が高まっている。特に最終話では、声優・蒼井翔太が実写で登場し、強烈なインパクトを残しているだけに、該当場面の演出で変化はあるのか注目が集まってる。「今回の再放送にはもちろん出ていただきますし、映像は同じなのかどうなるのかというのは楽しみにしていただきたいです。この3年間で、もし蒼井さんが別の力に目覚めているとか、何か経験されて違う自分を見つけたといったようなものがあれば、最終回にぜひその姿を見せていただきたいなと思います。現状ではまだ蒼井さんには確認はとれていませんが」と表情を緩めた。
第1話再放送後、公式ツイッターで「#ただの再放送には興味ありません」などつづったツイートは1万リツイートを突破。視聴者がSNSを通じ、リアルタイムで面白さを共有できるようテレビ放送とネット配信の開始時刻をそろえた。須藤氏は「同じ時間帯で同じものを見る楽しさ、そして次回は誰なんだ?というところを毎週楽しみにしてほしいなと思いますね」と呼びかけた。