声優では異例の挑戦だ。今春に注目を集めたテレビアニメ『スーパーカブ』(TOKYO MXほか)で主人公・小熊役を務め、売り出し中の夜道雪(21)が7月29日、秋田書店から初写真集『ひめごと』を発売する。大胆な露出をいとわない点が特徴的で、これまでの声優イメージからかけ離れた意欲作となっている。その狙いと手応えとは。夜道に話を聞いた。
さっそうとバイクにまたがり、ウエディングドレスをまとい、セーラー服にも身を包む。かと思えば、和室に喪服といった昭和テイストな場面も盛り込まれている。表情は笑顔から大人っぽいものまで幅広く、趣味のバイクで培われたボディーを惜しげもなく前面に押し出した。
「今まで挑戦していなかったこと、大きいことをやりたい気持ちがありました。21歳は飛躍できた年。今までで一番注目されているタイミングだと思うので、自分の全盛期をもっと知ってほしかった」
「全盛期」という言葉には重みがある。ただ、その歩みを振り返ると、決して軽い気持ちではないと納得できる。夜道は北海道・札幌市出身。14歳の時にスカウトされたことをきっかけに芸能界デビューを果たした。17歳で地元の音響技師から声質を褒められ、配信ゲーム「ユバの徽」(現在はサービス終了)のシュマリ役を務めたことをきっかけに、声優を真剣に志すようになった。
事務所を辞め、フリーで活動して時期に「声優は知名度があった方が有利だと聞いたので、少しでも自分のことを知ってほしかった」と独力でYouTube活動を開始。趣味のバイクを中心に配信し、SNSも積極活用。18歳で上京した後も、試行錯誤しながら展開。声優&ユーチューバーとしてバイク雑誌に取り上げられ、関連の仕事を行うなど、活動の支えとなった。現在ではMVアグスタなど6台のバイクを所有。チャンネル登録者数は15万人を超えた。
そして今春、『スーパーカブ』で親も友達もお金も将来の夢もない女子高生・小熊役に抜てき。スーパーカブに乗り始めたことをきっかけに人生が変わっていく物語は、まさに夜道にはうってつけだった。「小熊ちゃんは無口でおとなしいんですけど、ただおとなしい訳でなく、むしろ気が強いので、演じ方が最初は全然定まっていませんでした。珍しすぎて手本がないキャラクターを、自分で考えながら役作りしたのがすごく勉強になったし、いい経験になりました」。仕事が増えるきっかけになっただけでなく、演技の面でも自信になった。
グラビア写真集は今回が最初で最後と決めている。漫画誌「月刊少年チャンピオン」の表紙や週刊誌「FRIDAY」のグラビアを飾るなど注目度は上昇中。バイクだけでなく、ちあきなおみら昭和歌謡に触発されたシーンなど、夜道の個性が凝縮された内容で「今まで見せてこなかった、秘めていたものを初公開する気持ちです。タイトル『ひめごと』そのままに、ファンの方も知らない一面を見ていただければ」と呼び掛けた。
出演するテレビアニメ『女神寮の寮母くん。』(TOKYO MXほか)が今月スタートし、声優として勢いが増す夜道。今後をどのように見据えているのだろうか。
「いろんな方に従来の声優のイメージとは違うね、と言われるのですが、それでいいと思っています。私は声優も頑張りたいし、YouTubeも大事なお仕事ですし、バイクが大好きなので、バイク関連の仕事もやらせていただきたい。さまざまな活動を通して、たくさんの方に知ってほしいと思っています。〝一番いい夜道雪〟をつくっていきたいです」
彼女の全盛期は、まだまだ更新されていくに違いない。