ヴァイオリニストの川井郁子(53)が1日、都内で、自身が制作総監督を務める奏劇「月に抱かれた日」(12月14、15日、新国立劇場中劇場)で共演する川井花音(14)との母娘セッション披露した。母娘が劇中で演じる細川ガラシャの夫・細川忠興役で、細川護熙元首相の孫である三井高聡(14)も駆けつけ、3人は12月公演に向けて決意を新たにした。
名曲「カノン」。娘がギターを弾く隣で、母は愛おしげにヴァイオリンを奏でた。曲が終わり、拍手を浴びた母娘の顔に笑みが広がった。同劇は昨年、川井郁子のアルバムデビュー20周年を記念して企画されたが、コロナ禍で延期となった。この日は昨年末に無観客で上演した演奏部分を編集した映像も公開。今年12月の新公演に向け、生演奏や映像などと融合した音楽舞台〝奏劇〟が、新章をスタートさせた。
川井郁子は「昨年アルバムデビュー20周年の記念で音楽舞台を作成しようとしましたが、コロナの影響で上演はできませんでした。そこで無観客で一部分をピックアップしたハイライト映像を作成し、本日上映させていただきます」とあいさつ。その上で「この作品は細川ガラシャとマリー・アントワネットが実はご縁があったというエピソードをもとに紡いでいく物語です。人間のストーリーだけではなく、音楽のもつ無限の表現力を生かし、俯瞰した目でみつめるような表現を加えられたらいいなと現在つくっているところです」と語った。
花音と三井は幼稚園の同級生。ともに当時の印象はないが、重要な人物の幼少時代を共演した。花音は「セリフもなく、演劇ともミュージカルとも違うので、難しかったです。演じてみてカメラを確認しながら完成させていきました。憧れの白無垢も着ることができて嬉しかったですが、重かったです」と振り返り、三井は「初めての演技だったので、楽しみより緊張の方が勝っていましたが、楽しく演技できました」と語った。
花音は細川ガラシャについて「ガラシャは歴史上に出てくる数少ない日本の女性。もしかしたら私たちが考えるより新しくて勇気のある女性だったと思う」と印象を語った。三井は自身の先祖である細川忠興について「目白に永青文庫という美術館があり、ご先祖様のものを拝見させていただいた。両親や祖父母にご先祖様について聞かせてもらっていたので、よく知っています」と話した。
12月の新舞台へ。花音が「12月まで時間があるので、母とたくさん話しあって演じていけたらと思っています」と言えば、三井は「12月は大きな舞台で演技することになるので、緊張と楽しみと半々ですが頑張ります」と言葉に力を込めた。
日程や会場は未定だが大阪などでの公演も予定されている。コロナ禍を経た舞台芸術が、さらなる進化を目指していく