苦境の京都観光 タクシー会社がオンラインツアーで活路「何かを動かしておきたい」

今井 佳奈 今井 佳奈

 緊急事態宣言下となった今年のゴールデンウィークは、自宅で旅行気分を味わえるオンラインツアーが流行した。MKタクシーで有名な京都・エムケイグループの担当者は「全然ペイしない(採算がとれない)です」としながらも、苦境に立たされる京都の観光産業を活性化すべくオンラインで奮闘している。

 オンラインツアーはインターネットとパソコンやスマートフォンがあればどこからでも視聴・参加できる新しい形式のツアー。MKトラベルは昨年8月からオンラインツアーを開始した。5月3日に開催された楊谷寺(長岡京市)の「特別夜間拝観、青もみじライトアップ」では、参加者約50名がWeb会議システム・Zoomを使用して京都の景色を眺めた。

 同日のオンラインツアーチケットは1500円。 MKトラベルの担当者によると撮影地に支払う利用料や機材費、多くの人が関わっていることを考慮すると利益が出る企画ではないという。「ビジネスという感覚で見たら成立していないんですよね。どちらかというと、自分たちが仲良くしているところを稼働させたいなっていうところですかね」。コロナ禍で人を集めるツアーは打ち出せず、観光名所側も「来てください」と呼びかけにくい状況。「何かを動かしておきたい、止まるわけにはいかないんで」と思いを明かした。

 MKタクシーの公式インスタグラム(@mktaxi.jp)でライブ配信(火・木曜、後0・15)を毎週行い、オンラインツアーの撮影にも携わるエムケイの広報担当者は「(ツアー先を)コンテンツとして使うのではなくて、ちゃんと関係性のある方々と、お互いにがあるような形でやりましょうというのが特長」と話す。

 さらに、同広報担当は「インスタライブでもそうなんですがライブコマース的に物をPRして、実際に配信を見た方が買いに来られているようです。実利益を生み出し始めている」と明かす。「微力ながら京都を活性化できるような形にできているのが良いかなと思っている。コロナ禍が落ち着いても継続していろいろな伝え方ができるといいなと思っています。血流じゃないですけど、活性化して血を流していくようなイメージなのかなという感じはあります」と語った。

 一方で、オンラインツアーの集客には苦心している。インスタグラムライブ(無料)の視聴者数約1000~1500人と比べ、有料のオンラインツアー参加者は約50名。6・8万人のフォロワーを持つ同社のツイッターアカウント(@MKofficial_PR)で2週間かけて告知し、Zoomの使い方を事前練習する機会も設けたが集客は難しかったという。「得体が知れないと思う人もいると思うんですよ。『オンラインって何が体験できるの』ということを伝える難しさもあるのかなと」と課題を口にした。

 介護施設での利用や、遠方にいる知人と同時に見る楽しみ方などさまざまな活用方法が生まれてきているオンラインツアー。同担当者は「タクシーで人を運んでつないでいくということがありますが、オンラインでもつないでいって活性化するというのが、会社の概念的にも合っているかなという気がする」と語った。

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