服を通じて社会課題の解決を目指すファッションブランド「coxco(ココ)」が4月6日から、倉庫に眠る生地を活用した新シリーズの販売を開始した。同ブランドの運営会社代表でNPO法人「DEAR ME」の代表も務める西側愛弓氏がNPOだけでなくビジネスでも社会問題解決を目指す理由を語った。
西側氏は2015年からフィリピンの貧困地域に暮らす子どもがモデルになるファッションショーを開催するなど、NPOの活動を通じて社会問題解決を目指していた。しかし、活動の中で「社会貢献活動だけでは社会って根本的に良くならないんだな」と感じたと明かす。
「ビジネスもやらないとサステナブルではないなって。自分自身もそうですし、NPOの活動もそうだ(サステナブルでない)と思っていて。NPOは他の会社さんからの協賛や支援者からの支援でやりくりしていても、支援慣れしてしまうというデメリットもあるなと思っていて」と理由を語る。「ビジネスとNPOの活動を両立させ、シナジーを生ませるってことがすごく重要なんじゃないか」と意識が変わった。
同NPOでフィリピンでファッションスクール「coxco Lab(ココラボ)」を設立する計画もある(新型コロナウィルスの影響により時期未定)。「将来的に雇用もしっかり生みたいなと思っていて。雇用を生むことによって貧困問題を少しでも解決したいと思ったときに、連携企業とかに依頼するのかってなったらすごく無責任だなと思って」。自身がファッションブランドを立ち上げることにより、スクール生の雇用も支えられる。
「coxcoが大きくなったら、もっとcoxco Labの生徒は人数が増せていろんな教育を提供できるし、どんどんcoxcoに入っていく。どちらも大きくなったら貧困やいろいろな社会問題が解決できるのかなと思ってビジネスもしようと思いました」。協賛金や支援金に頼るNPO活動だけでなくビジネスと組み合わせることで循環が生まれ、サステナブル(持続的)に社会問題に取り組めると考えた。
coxcoの今期テーマは「ノーノーマル」。商品を通してアパレルの廃棄問題を伝えるシリーズだ。販売されるワンピースやシャツは、「サンプル生地」や「B反」と呼ばれる生地から作られた。商品化されずに倉庫に眠っていたものや、ブランドに依頼されて製作したものの希望通りの色にならずに納品出来なかった生地で、行き場がなく倉庫に眠り続けたり、保管場所がない場合には廃棄されたりすることもあるという。
今回商品に使われた生地は、有名ブランド服に使われる生地も生産する国内工場のもの。倉庫にずらりと並ぶ布を見た西側氏は「めっちゃいい生地で、もったいなくて」と商品化に乗り出した。洋服の商品ラインナップはワンピース(生地4種)、シャツ(生地6種、2サイズ)の2種類。大量生産に向かない生地の特性上、各アイテムは4点~約30点ずつのみ製作された。