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中高一貫校ならではの「中だるみ」の恐怖!その時に親ができること、できないこととは

受験

野田 茜 野田 茜

 中高一貫校に通っていると「中だるみが起きやすい」という噂を聞いたことはないだろうか。高校受験がない分、気持ちの緊張感がゆるみ、勉強への意欲が落ちる子どもは少なくない。筆者の家庭でも、長男(現在高校1年生)が中学2年生の頃にまさにその波を経験した。

 中学受験を終え、長男が第1志望の中高一貫校に入学したとき、筆者は本人に以下のことを伝えた。「私は中学校の勉強内容はわからないので、これからは関わらない」「中学校からは、自分で勉強全体に責任を持つ」「わからないことや困ったことがあれば、まずプロである学校の先生や友達に聞く」「それでも行き詰まったときは、私や夫にいつでも相談してほしい」。

 中学受験では親が伴走してきた家庭も多いと思うが、長男の場合はもともと塾に通わず家庭学習で進めてきたため、主体的に勉強に取り組む土台ができていると感じていた。話を聞いた長男も「わかった」とうなずき、親子で新しいスタートを切った。

 ところが中学2年生になると、徐々に成績が下降し始めた。秋頃にはそれまでで一番悪い成績をとり、提出物の遅れも目立つようになった。その後の面談では、担任の先生から「今の状況を自分ではどう思っている?」「苦手な科目はやらなくてもいいと思っている?」「大学進学はどう考えているの?」と、厳しい言葉が投げかけられた。

 先生は筆者ではなく、長男をまっすぐ見つめていた。穏やかな口調で表情もやわらかかったが、言葉の1つひとつは鋭く、隣で聞いていた筆者はいたたまれない気持ちになった。今でもそのときのことを思い出すと、胃がきゅっと締めつけられる。

 正直、一番悪い成績とはいえ、学年全体では真ん中より少し下くらいだったので、ここまで厳しく指導されるとは思っておらず、予想外のカウンターパンチをくらったような衝撃を受けた。親として心がざわついたが、長男の勉強の進捗や提出物を細かく管理するようなことはしたくなかった。そこで、勉強時間をある程度確保するため、長男とゲーム時間のルールを見直すことにした。

 勉強そのものについては、最初のうちは一緒に方法を考えたり、苦手な社会の暗記カードをお風呂用にラミネートしたりもした。けれど次第に「これは親の出番ではない」と感じ、かかわりを減らしていった。

 不思議なことに、それから少しずつ状況は好転した。中学3年生に上がる頃には学習習慣が定着し始め、テストごとに成績が上向きに。科目によっては優秀者として名前が掲示されることも増えた。あの中学2年生の1年間は、長男にとって試行錯誤の苦しい時期だったのだと思う。

 振り返ってみると、「これをしたから持ち直した」とはっきり言えるものはない。

 もしかしたら、私が気づかないところで、本人なりのきっかけや変化があったのかもしれない。しかし、子どもの生活や気持ちをすべて理解するのは不可能だ。中学以降、親にできるのは見守ることを軸に、ときに声をかけたり、必要なときに支えたりすることくらいだろう。中高一貫校での中だるみは、親子それぞれが自立していく過程の一部なのだと、今では思っている。

<プロフィール>

野田 茜

 2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値(四谷大塚)60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。

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