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SAPIXと浜学園の差に「びっくり!」中学受験で長男に両方通わせた宮村優子が受けた衝撃

受験

杉村 峰達 杉村 峰達
宮村優子
宮村優子

 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」でアスカ・ラングレー役、「名探偵コナン」で遠山和葉役を演じた声優の宮村優子。受験した長男の中学入試で苦闘する日々をSNSにつづったことが話題にとなった。受験まっただ中で関西から東京に転居。東西のトップ塾に通った経験などを語った。

 宮村と長男の中学受験は、滞在していた豪州から帰国した後からスタートした。長男は当時、小学3年生の夏休みだった。海外生活が長かったため、かけ算の九九や漢字の読み書きが苦手で、学校の補習のつもりで塾に入れた。

 「私自身は中学受験なんてしていないし、息子に受験させることも考えていなかった。友達がその塾の夏期講習に行くからって通わせたんです。受験じゃないコースもあると思ってたんですよね」

 しかし、長男が入った浜学園は、日本最難関校・灘中への合格者を多数輩出する関西ナンバーワン塾だった。

 「テストを受けて入りました。3年生の時点でクラス分けがされていて。下のクラスに入ったけど、先生は『上のクラス目指せ!受験頑張れ!』みたいな雰囲気。息子は3年生の夏休みでも九九も覚えていない状態で、プリント1枚1時間くらいかかってて、これはダメだと…」

 しかし、息子くんはここから才能を開花させだす。浜学園と同じビルに入っていたそろばん塾にも友達が行っていることから通い出すと、みるみるフラッシュ暗算などの計算が好きになったという。

 「『算数が楽しい、好き』ってなって。浜学園さんの授業がまた、楽しいらしいんです。男の子だから、ゲーム感覚なのかな。みんなが上を目指してるから!みたいな。下のクラスから上のクラスに上がっていきました」

 ただ、5年生になり、本格的に中学受験用のカリキュラムが始まると、状況が変わりだした。

 「最初の楽しそうにやっている間はまだよかった。でも4年の終わりくらいになると、算数も難しくなってくるし、宿題の量もすごい増えてくる…。塾の先生に言われたように、復習とかも頑張っていたんですけど、もう、一杯一杯でした」

 それでも必死に食らいついた日々を振り返る。

 「今から思えば、3、4年生のころは、復習なんてあっという間に終わらせて、先のこともできるようなキャパシティーのある子じゃないと、上のクラスを維持していくのは難しいんだと、分かりました」

 とはいえ、長男は踏ん張った。5年生の中ごろでも、浜学園で上位クラスを維持した。そんな中、宮村は仕事の関係で東京に転居。東京で受験を続けるために選んだ塾がSAPIXだった。筑波大附属駒場、開成、桜蔭など、首都圏最難関校に圧倒的合格実績を誇っている。宮村と長男は、そこでさらなる衝撃を受けることになる。

 「浜学園では一番上のクラスにいたんです。東京に引っ越して、サピックスに行ったら、ビックリ。SAPIXはすごいですね。マンモス校舎で、クラスが20以上あって、入ったときは真ん中くらいだったんですけど、社会をやったことがなかったので…」

 首都圏の中学受験は国算理社の4教科入試が基本なのに対して、関西圏の入試は灘中を始め、社会科が受験科目にない3教科型が多い。長男も社会を受験用に学習してこなかったため、クラスは急落した。さらに困難だったのが、家庭学習の多さに加えて、プリント整理だった。

 「社会のプリント整理と覚える課題の量が多すぎました。特に私は自分の確定申告にもてんやわんやするくらい、整理整頓が苦手なタイプで(笑)。整理整頓ができるお母さんのブログをめっちゃ読んで頑張ったんですけど、できなくて…」

 SAPIXは教科書のような冊子のテキストではなく、授業のたびにプリントが配布される。付随したプリントやテストも多く、その整理はSAPIX生の両親の大きなハードルとなっていることは知られている。宮村はしみじみ回顧する。

 「私、灘や開成とかに入っているお子さんって、お子さんの出来もめちゃめちゃいいのは当たり前なんですけど、その前にお母さんが出来がいい。お母さん界の東大のようなスーパーママが多いと思いました」

 ましてや、離婚してシングルマザーだった宮村は、ワンオペ育児。さらに長男は、発達障害を抱え、パニック的な症状も見せたという。長男も受験勉強で大変だったが、宮村自身も精神的に追い詰められることもあった。

 「お父さんとお母さんの役割分担ができないから、私は優しく言ってたかと思えば、厳しくも言わなくちゃいけなくて。こっちの精神が崩壊しそうになって」

 算数は得意のままだったが、下のクラスでは応用問題などはやらず、物足りない。宮村はSAPIXを辞める決断をした。

 「好きな算数も面白くないと思っちゃうのが残念でした。せっかく時間を割いて勉強に充ててるのだから、貴重な時間を面白くないと思って過ごすよりは、面白いと思うもので過ごしてもらった方がいいなと。息子も賛成してくれたので」

 大手を退塾して、通い出したのが小さな算数塾だった。

 「先生が理科も見てくれて。物理までやってくれて。物理の興味が芽生えたり。学校とうまくいかない時期にも塾が居場所になってくれた」水があった恩師や家庭教師のサポートも受けて、見事に合格をつかんだ。

 「いちばんは子どもの特性を見極めてあげるのが大事だと思う。出来る子にはプッシュすればいいけど、できないのに無理にプッシュするのはよくない。特性を見極めてあげて、受験生活を過ごした方が、将来的にもいいんじゃないかな」

 受験を終えて、理系男子として中学生活を謳歌する長男を思い浮かべ、宮村は笑顔で総括していた。

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