前回は認知症の予防策に関して説明をさせて頂きました。
では、認知症になってしまったらどうすればいいのでしょうか?
今回も認知症の専門家である浦上克哉先生のご著書を参考にしてアドバイスをさせて頂きます。
認知症は現代医学では、治癒させることが出来ません。
しかしながら、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)は回復可能な段階なのです。
MCIの段階で本人、ご家族が気づき、適切な予防策、治療を受けることが出来れば、MCIの段階にとどまり日常生活に支障を来たすことはありません。
まずは専門家の診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。
しかしながら、正常かMCIか、MCIか認知症かの境界は不明瞭な部分が多くあり、確実な診断は専門家でも困難を極めます。
ですから、この病気に関して心配なことがあれば専門家の診断を受けることが大切です。
大切なことなので繰り返しになりますが、認知症は治癒できませんが、MCIは回復可能なのです。
MCIであれば新薬の使用が可能なケースもあり、適切な予防策も重ねて行うことで回復の可能性が高くなるのです。
市中病院の認知症の専門の先生からも新薬の効果は素晴らしいと直接聞いたことがあります。
まずは、不安があれば受診ですね。
では、完全に認知症の診断が下ってしまった場合はどうすればいいのでしょうか?
認知症になってしまった場合、患者さん自身はどうすることも出来ません。そこで大切な事があります。ご家族の対応です。
当たり前のことですが、認知症と言っても立派な人間です。
失敗に対して、怒鳴り散らしたり、逆に全く相手にしなかったりと普通に考えれば駄目と分かる対応をしないことです。
認知症になっても立派な感情があります。記憶もまったく無くなるということではなく、逆に人格を否定されたりするとその部分の記憶が鮮明に残り、ご家族に対して何も言わなくなったり、認知症が急激に増悪(ぞうあく)することがあります。
しかし、看護にあたるご家族も聖人ではなく普通の人間です。疲れていることもあれば、何度も同じミスを繰り返されては感情が顔に出ることもあるでしょう。デイサービス、ショートステイなどの介護サービスをうまく利用しながら共倒れにならないようにしましょう。有酸素運動、筋力トレーニング、知的活動も認知症に対して効果があるとされています。これらのことを楽しく続けることも大切です。
あるご家庭では、鬼の形相で奥様がご主人に対して上記のトレーニングを強制し、ご主人は泣きながら続けておられたようです。これではまったく効果がでないどころか、逆効果になります。楽しく続けていくことが非常に大切です。
最期まで人として接することが一番大切なようです。