こんにちは!アップ進学館の齋藤と申します。
勤務先の西宮は夏らしい天候が続いております。スタバの涼感と店員さんの丁寧な対応に癒されながら、PCをカチャカチャやってから会社に向かうことが多いですが、ブラインド越しの景色はいつもまぶしく、きっと今日も退店後の車内は暑く、ハンドルは沸かしたてのヤカンの取っ手レベルに仕上がっていることでしょう。
そんな敬遠されがちな夏ですが、本音を言えば、私はとっても好き!~夏生まれだから、なんて医学的根拠の薄そうな理由ではなく、「生徒が最も大きく成長する姿を見られる」からに他なりません。
昔からよく言われる「夏を制すものは受験を制す」―自身の体験としても、思えば長くなった講師経験からしても、この言葉はかなり的確に真理を突いています。学校生活、というある種の横一線的な時間の制約が外され、1カ月以上オリジナルの戦略で成長を企てるわけですから、本当にビックリするくらいのレベルアップを見せる生徒が必ず出現します。
伸びの大半は生徒自身の努力によって成し遂げられたものですが、昨日できなかった問題を今日できるようになっている勇姿を見るにつけ、ほんの少しでも成長をアシストできるこの仕事に誇りとやりがいを感じることができます。
ところで、ここまでを読み返すと子どもたちの成長は、子どもたち自身とまわりの仲間と先生で達成しているものに感じますが、もうひとつ、ご家庭の環境づくり、少し尖って書くと「保護者さまの構え方」も重要なものとなっています。塾で過ごす時間同様、ご自宅で過ごす時間も長くなっています。学びの場のベースは塾や自習室にあったとしても、休みの日もあるでしょうし、生活の基地はまぎれもなくご自宅、指揮を執る軍曹は保護者さま(多くはお母さま)に他なりません。
「夏の大成長物語」を完結させるにあたり、保護者さまの役割はかなり重要であるにもかかわらず、スポットライトは常に主役である生徒にあてられ、そして指導する講師だけに助演賞が与えられがちです。保護者さまは…というと、誰よりも我が子を案じながら、思い通りに踊らない主演者にやきもきし、ついカッとなり高い声で注意し、反撃として(塾で覚えたのか)小難しい憎まれ口を披露されてハッとする、何とも損な役回りになっている方が多いだろうと想像しています。ただ、これだけは言えます。おぼつかない足取りの主役を支えるキャスティングにおいて、前述の助演賞に該当する人は何とでもなりますが、その「損する登場人物」は決して替えのきくポジションではなく、保護者さまにしか務められない大役です。気が休まらない配役で恐れ入りますが、一生に何度も演じるものではありません。どうか楽しく、誇り高く千秋楽まで舞台にあがりきってください。
そんな大役を担う保護者さまにお願いしたいことを大小分けて書くと、大きいものはやはり日常の声掛け。特にテストなども多くなっているので、子どもたちはどの学齢にせよ、けっこうな頻度で「他者との比較」にさらされています。思う成果があげられない日も少なくないでしょう。それなのに、家に帰っても他人(しかも大抵はかなりの難敵)と比べられたらなかなかお子さまの気持ちがあがっていきません。努力不足と切り捨てたい、実力不足と嘆きたい、そんな思いをグッとこらえて、できれば「自分と自分の比較」という観点で話をしてあげてほしいと思います。この前は間違えていた漢字が正しく書けるようになっただけでその成長を称えてあげられるようになれば、きっとご家庭の空気感もお子さまの高揚感も変わってくるはずですから。
お願い項目「小」はいろいろありすぎますが、身の回りにある些細だけど面倒なことを、何も言わずに整えてあげることはポイントが高いのではと思っております。小学生高学年、特にわんぱくな男子生徒なんかはB4サイズのプリントの両端をそろえて折ることに幾分の価値も感じない方がたくさんいらっしゃいます。でも、そのプリントでは頭を整えて復習するのは心情的に困難。そっと折り直してあげてはいかがでしょう。おそらく気づいてはくれません。虚しくすらあるかもしれません。でも、遠い先、ひと世代すすんだあたりで、当時の主役は自分を支えたキャストの愛に、きっと気づくと思います。
そんなこんなで暦はもう8月。いよいよ勝負の夏真っ盛りです。大人チームみんなで主役を支え、よきドラマを作り上げていきましょうね。