国内最大級の家計診断・相談サービス「オカネコ」を運営する株式会社400Fはこのほど、全国のユーザー434人を対象に「オカネコ老後資金に関する調査」を実施、結果を公表した。
調査結果によると、老後に対して「非常に」と「どちらかというと」を合わせた78.7%が「不安を感じている」と回答。特に不安を感じている項目としては、「生活費(83.0%)」が圧倒的に多く、「医療費(58.8%)」「健康面(53.8%)」「介護費(49.7%)」と続いた。実質賃金が伸び悩み、食料品やエネルギー価格の高騰が続く現状を反映していると考えられる。また、高齢化の進展に伴い医療費が増加傾向にある中で、将来の医療費負担に対する懸念も高まっている。
老後資金の準備状況について、年代が上がるにつれて「充分と思える準備ができている」と回答する割合は増加するものの、30代以下ではわずか3.2%にとどまり、40代が2.7%、50代でも6.7%と低い水準だ。しかし、60代以上では20.2%と顕著に増加しており、定年が近づくにつれ準備が加速する傾向が見られる。
一方で、「まだ何もしていない」という層の割合について、30代以下が31.5%と最も高いものの、40代23.2%、50代25.7%、60代以上22.3%と年代による大きな差はなく、年代が上がっても一定数の人々が準備に着手できていない。年代が上がるにつれて老後資金の準備ができている人とそうでない人の二極化が進んでいると言える。
実際に老後資金の準備状況を見ても、50代で「5000万円以上」が16.9%、60代以上では「5000万円以上」が25.4%に達するなど、高額な貯蓄を保有する層も増加しており、貯蓄額においても二極化傾向が見られる。
老後資金の主な準備方法としては、「預貯金」が75.1%と最も多く、次いで「投資信託・株式(59.9%)」「公的年金制度(55.1%)」が続いた。NISAなどの非課税制度の拡充で投資への関心は高まっているものの、依然として預貯金が主流となっている。
2025年度の年金支給額引き上げ(+1.9%)に対して約半数(47.2%)が「物価上昇に追いついていないと感じる/実質的には目減りだと感じる」と回答。年金制度への不信感や不安感が根強いことがうかがえる。
毎年誕生日月に届く「ねんきん定期便」の記載内容について、30代以下の若年層の半数以上(56.5%)が「全く理解していない」または「あまり理解していない」と回答。年代が上がるにつれて理解度は向上するものの、50代でも約4割(38.9%)が理解できていない。将来の年金額や制度に対する理解度が低いことから、老後への具体的なイメージを持てず、結果として老後資金の準備が後回しになる要因の一つになっている。