イギリスのバッキンガム宮殿で進む総額3億6900万ポンド(約793億円)規模の大改修工事で、床板の下や壁の中から思いがけない品々が次々と見つかっている。10年がかりの工事で作業員が床をはがし壁を開ける中、発見されたのは古びたブーツや賭けの券、王室行事の進行表など。なかにはヴィクトリア女王の時代にまでさかのぼるとみられるものもある。
宮殿の「お宝」というより、その多くは歴代スタッフの私物で過去200年、あの有名な門の奥でどんな暮らしが営まれていたのか、思いがけないかたちで垣間見ることになった。
とりわけ目を引くのが、1949年4月14日に宮殿で開かれたトランプゲーム「ウィスト」の会の入場券の切れ端。レンガに埋め込まれた状態で見つかった。ほかにも賭けの券、空のタバコ箱、水のボトル、89年の劇場情報が載った新聞の切り抜きなどが出てきた。
特に興味深いのが故エリザベス女王がシルバー・ジュビリー(在位25周年)を迎えた77年、外交官らを招いたレセプションの進行表だ。女王が会場を「時計回り」に回る動線や側近がゲストとどう言葉を交わすべきかまで、細かく指示されていた。
バッキンガム宮殿は1837年にヴィクトリア女王が移り住んで以来、英国君主のロンドン公邸となっており、現在も公務の場かつ人気の観光名所で、時期により一般公開もされている。チャールズ国王は公務で宮殿を使う一方、住まいはクラレンス・ハウスのままで国賓の晩さん会も工事中の今はウィンザー城で開かれている。
華やかな王室の舞台裏で、スタッフたちがトランプに興じ、賭け事を楽しみ、芝居の夜を心待ちにしていた―。そんな日常が浮かび上がる発見となった。