披露宴で行われるセレモニーが少しずつ様変わりしている。ケーキ入刀やファーストバイト、花嫁の手紙などの演出に違和感を抱く声もあり、近年は性別役割の固定観念にとらわれない「ジェンダーフリーウェディング」への関心も高まっている。その一方で昔から変わらないもの、意味合いを変えて残っているものも多い。それらをウェディングプランナーの岩田美生さんが解説する。
例えばファーストバイト。元々は男性からは“稼いで妻を一生食べさせる”、女性側は“夫の食事を一生作る"という意味があった。だが「いまは時代背景の変化からそうした意味は説明することなく、ウエディングケーキカットからの一連の流れで、お互いに食べさせ合うという可愛い儀式として残っている」という。
さらに新郎新婦がお互いに食べさせ合う“ファーストバイト"だけでなく、お世話になった方に食べてもらう“サンクスバイト"、新郎新婦の夫婦のお手本でもある両親が食べさせ合う“お手本バイト"、母親が子育ての締めくくりとして食べさせる“ラストバイト"などさまざまな派生バイトも一般化してきているという。
また新婦の挙式入場前に、母親が娘のフェイスベールを下ろす「ベールダウン」というセレモニーがある。これは母が娘のために「最後の身支度」を意味するセレモニー。ベールが魔除けのためもあり、災いから身を守る願いもこめられている。
だが最近では母→娘だけでなく、母→息子のイベント「ジャケットセレモニー」も誕生した。これは母親が新郎である息子のためにジャケットを着せるもの。「ベールダウンと同じように、最後の身支度、子育ての終了のセレモニー」だという。
さらに「これまでウエルカムスピーチは新郎の役割でしたが、最近では新婦も一緒に行うことも多くなりました」という。新郎新婦がジェンダーフリーを考えた結果というよりも、「ごく自然の流れで、新郎新婦が共に参加しています。育った時代背景的に、結婚式を挙げる年代の方は、男女は関係ないのは当たり前。『男だから』『女だから』というのは、あまりないようです」という。
一方で、トラディッショナルなものも残っているという。引き出物には鰹節が選ばれることが多い。鰹節には背側の雄節(おぶし)と腹側の雌節(めぶし)があり、元々の引き出物にはこの雄節・雌節の2本を準備。これを一対にし、夫婦が固く結ばれるという意味があった。現在では鰹削り器が自宅にない家が殆どのことから、削り節になっているが、それでも鰹節を引き出物のひとつに選ぶカップルは多いという。また鰹節以外でも健康長寿を意味するうどんやそば、子孫繁栄の縁起物である梅干しなど、古くから伝わる品を選ぶカップルが多くいる。
「日本の結婚式は独自の進化の形態を遂げてきました。“これが正解"もありません。新郎新婦が納得できるセレモニーができるよう、ウエディングプランナーに相談いただければ」という。現在の結婚式は新旧さまざまなものが絡み合い、さらなる進化を遂げている。
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岩田美生(いわた・みお) フリーウェディングプランナー。オリエンタルランドでキャストを経て、人財育成を担当。ディズニーブランドホテル開業プロジェクトにも参加。大手ブライダル会社を経て、(株)Colorfraiseを設立。累計3000組以上に携わり、「NOと言わないフリーウェディングプランナー」として、従来の枠にとらわれないオーダーメイドウェディングを手がけている。