物価高が続く中、「少しでも食費を節約したい」と家庭菜園を始めたマンション住まいのAさん。トマトやナスなど、食べられる実がなる植物を中心に育て始めた。植物は順調に育っていたものの、しばらくすると隣人から「虫が飛んでくるので困っています」と声を掛けられてしまう。
しかしAさんが住むマンションの規約には、家庭菜園を禁止するルールはない。この状態のなか、Aさんがマンションのベランダで家庭菜園を楽しむためには、どのような点に注意するべきだろうか。合同会社えがおファーム代表・家庭菜園アドバイザーの清岡賢さんに話を聞いた。
―隣人から虫の苦情を受けないためにはどのような対策が必要でしょうか?
虫の発生を防ぐには、野菜が健康に育つ環境を整えることが大切です。
市販の野菜用培養土には必要最低限の肥料が配合されているため、植え付け直後の追肥は基本的に必要ありません。肥料を与え過ぎると、アブラムシなどの害虫が発生しやすくなります。
また、水やりは毎日ではなく、土の表面が乾いてからおこないましょう。特に雨の翌日は水分が残っていることが多く、水の与え過ぎは根腐れやコバエの発生につながります。
こうした基本的な管理を心掛けることが虫の発生を抑え、近隣への配慮にもつながります。
―その他、マンションのベランダで家庭菜園をする際に気をつける点はありますか?
マンションの管理規約はしっかり確認しましょう。マンションによっては、ベランダでの栽培やプランターの設置方法にルールが設けられている場合があります。ベランダは共用部分として扱われることもあるため、「自宅だから自由に使える」と思い込まず、事前に管理規約を確認しておくことが大切です。
また、安全に配慮した場所に設置されているかも確認してください。ベランダは火災や災害時の避難経路として使われます。特に隣戸との境にある避難用パーテーションの前には、プランターや棚などを置かないようにしましょう。家庭菜園を始める前に、避難経路を確保した上で設置場所を考えることが重要です。
―初心者でも育てやすく、ベランダ菜園に向いている野菜はありますか?
私は特定の野菜をおすすめすることはしていません。せっかく育てても、自分や家族が食べない野菜では収穫する楽しみが半減してしまいます。まずは『食べたい』『育ててみたい』と思える野菜を選びましょう。その上で、その野菜が育つ季節や必要なプランターの大きさを調べて始めることが、長く家庭菜園を楽しむコツです。
◆清岡賢(きよおか・まさる) 家庭菜園アドバイザー
合同会社えがおファーム代表。家庭菜園アドバイザーとして初心者向けの家庭菜園講座や栽培指導をおこなうほか、「自身の農園では食べるとなぜが福がくる 福野菜」の栽培・販売にも取り組む。プランター栽培やベランダ菜園など、都市部でも実践しやすい家庭菜園の普及に力を入れ、虫対策や管理方法など、実践的なアドバイスをおこなっている。